6 ページ8
旅館に着き玄関先で待ってると、
「あっ…降ってきた」
「良かったね。タオルと上着持って来といて」
「うん!」
ここに来る途中、天気が怪しそうだったので鞄の中にタオルと上着を持ってきてたのだ。
「でもこの時期、雨でジメジメするから上着着るのヤなんだよねー」
「でも風邪引いちゃダメだから。あ、鞄持つよAねーちゃん」
「ありがとう、コナン君」
新一に鞄を持ってもらい上着の裾に腕を通す。園子ちゃんが時計で確認してる。
「早く来てくれないかなー道脇さん…」
「焦らない焦らない!ヒーローは遅れてくるモンなんだから!」
「やめてよ、恥ずかしいなぁ…」
立場が逆転してる光景に笑みが零れた。相手があの男なのにはまだ不満ではあるが、林の中で不安でいた園子ちゃんを安心させたのだ。その事は評価してもいいだろう。
認めはしないけど。
その時後ろの玄関が開いた。見ると海の家で働いていた男性が出てきた。手には一本の傘。それを玄関の扉に立てかけて置くと何も言わず中に戻り、玄関を閉めた。
「なんだろ、この傘…」
「使えって事かなあ…?」
「もしかしたらあの人、園子ちゃんに気があるんじゃない?」
「えーーっ!?」
「なによ園子、モテモテじゃない!」
私が言った言葉に園子ちゃんは驚いて蘭ちゃんは茶化した。でも園子ちゃんは、あんな暗い男…、とあまり良く思ってないらしい。
いいと思うけどなー、あの人。
37人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ウォーカー | 作成日時:2018年4月15日 10時