かげの制裁 (ページ22)

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④ ページ22

「志保、あなたに選ばせてあげる。

殺されるか、自ら引き金を引くか、どっちがいい？」

懐から拳銃を取り出し、シェリーの前に置いた。

本来なら即処刑だが選択肢を与えた。どちらの内容も処刑なのには変わらないが。
彼女は何も持っていないし、扉は1つだけ。前のようにダストシュートから逃げ出す事は出来ない。

様子を見ているとシェリーはゆっくりと拳銃に手を伸ばし、掴んで構えた。

銃口を、こちらに向けて。

哀「……言われたのよ、逃げるなって。自分の運命から、逃げるなって……

私も、逃げたくないのよ！」

「なら撃ちなさい」

シェリーの腕を掴み、心臓に拳銃を当てた。この行動は予想外だったのか、シェリーは驚いている。

「『逃げたくない』？笑わせないで頂戴。
ジンとウォッカに立ち向かう事も、撃ち殺す事も出来ないあなたに何が出来ると言うの？
あなたは他人を不幸にするだけ。家族を不幸にしたようにね」

再びここから逃げ出せたとしても、今までのようにいく訳が無い。灰原哀としての友人も知っている。匿えば、その人物が不幸になる。

死んでしまえば楽になるが「逃げるな」と言った人物を裏切る事になる。その言葉は呪いとなって苦しめているが。

シェリーを見ると、撃つ気は無かったのかそこから動くことは無かった。
拳銃を奪い取り、ポケットからハンカチを取り出し口元に当てた。すると力無く床に倒れ込んだ。

立ち上がって部屋の扉を開けると「あの女は？！」とウォッカの声がした。部屋の前で待っていたようで、中が見えるように動くとウォッカはシェリーの元へ向かった。

ウォッカは外された手錠に気づきシェリーの手首に繋いでいる。

ジン「殺(バラ)してねーのか」

「譲るわ。
あ、でもまだ殺さないで頂戴。その子には仕事があるから」

それだけ告げて去った。