かげの制裁

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1日目夜ページ3

RUM「早かったですね」

「報告します。シェリーを見つけました」

シェリーと聞いてRUMは驚いた。当然だ。
[シェリーはベルツリー急行の爆破で死んだ。]そう報告を受けている。

「こちらの資料をご覧ください」

渡した資料にはシェリーと灰原哀について書かれていた。RUMは資料に目を通した。

・シェリーは小学生の姿で、灰原哀と名乗っている事。
・[阿笠博士]という男性の元で身を隠している事。
・阿笠博士に保護された日と、シェリーが行方をくらませた日が一致した事。
・灰原哀の見た目が、シェリーの幼少期と酷似している事。
・シェリーが行っていた動物実験の結果の中に、一匹だけ死なずに、幼児化したマウスが居た事。

「以上の事から、灰原哀はシェリーと断定してよろしいかと」

報告を聞き終えたRUMは資料を置き、手を組んで目を閉じた。
灰原哀。その名前には聞き覚えがあった。

以前、ある施設から1人の女を拉致した。その女の名前は、直美・アルジェント。八丈島近海に建設されたインターポールの海洋施設パシフィック・ブイのエンジニア。

そこは世界中の警察が持つ防犯カメラを監視できる世界初の施設で、システムの開発者は彼女だった。

だが老若認証システムは、顔が似ている別人を同一人物と認識してしまう欠陥品だった為、パシフィック・ブイの破壊を命じた。

RUM「あなたに渡した時計(ソレ)は、原佳明が作った[10年後の顔を予想して映し出す機械]と直美・アルジェントが作った[老若認証システム]を元にして作らせたものです。
そうですか、そうですか」

RUMは数回頷いた。
試作段階という話だったが、ほぼ完成に近かった。性能テストも問題なく、動作も正常。

その結果、シェリーが釣れた。
パシフィック・ブイの件で灰原哀＝シェリーという疑惑は消滅したが、再び疑惑が浮上したという訳だ。

灰原哀の10年後の姿も老若認証システムも、シェリーの姿を映した。

だがそうなると懸念が生まれる。