かげの制裁 (ページ11)

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② ページ11

パソコンを前にしてキーボードで打ち込む。画面には英語や数字の文字が並んでいたが、ある所までいくと写真と文字という、シンプルな画面に切り替わった。

そこには見慣れた顔があった。

目的の物を見つけ、USBを差し込む。慣れた手つきで行われる行為に一度や二度で身につけた術では無い事が分かる。

USBには画面に出ているデータのコピーが行われた。％ゲージが少しずつ100に近づいていく。

もう少しという所で「あれ、どうしたんですか？」と声をかけられた。横目で見るとその人物は間違いなく、自分を見ていた。

黒い短髪に薄くて太い眉、鋭いツリ目に眼鏡をかけた男 [風見裕也]
この男の目には、スーツを着た金髪の褐色肌の男が映っている。その姿を見て風見裕也は「降谷さん」と呼んだ。

その名前を聞き、口角が上がった。

「少し気になる事があってな」

風見「何か動きが？」

風見裕也は声を潜めて聞いてきた。
この質問が何に対してかはある程度予測が出来た。この男は[降谷零]の部下であり、直接連絡を取れる人物のようだ。

「あぁ。少々厄介な事になりそうだ」

降谷零は風見裕也に気づかれないよう、素早くパソコンに差し込んでいたUSBを回収した。
もうここに用は無い。適当に話を合わせ直ぐにその場から去った。

廊下を歩いても不審に思う者は居ない。

警察官が居る中で手に入れた機密データ。
思わず笑みを浮かべてしまった。

以前にもここは侵入された事があった。あの時は夜遅い時間帯で人気が無かった。どこかで何かを探す時は普通ならそうする上に、そもそも不審者は内部まで入り込めない。だが、この男は入り込めた。

車に乗り込み、降谷零の変装を解いた。

「よく今まで普通に過ごせてたわよね」

マスクを見て呟いた。
金髪で褐色肌で警察官。一度でも見たら覚えそうな見た目だ。良くも悪くも印象に残りやすい。だが逆に言えば、見慣れた人間からすれば怪しむ必要性が無いという事。

警察内部に侵入する事は簡単では無い。どこかで気づかれる。捕らえているとはいえ、こうもすんなり行くとは正直思っていなかった。

「素晴らしい信頼関係。利用させてもらったわよ、バーボン……いいえ、公安警察の頂点・警察庁警備局警備企画課に所属する警察官降谷零さん？」

言いながら拍手を送った。
そして情報を送るため、パソコンにUSBを差し込んだ。確認した後、インカムに手を伸ばした。

「報告します」

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