2 ページ32
「ミステリーはお好きですか?」
お茶を出すためにリビングに向かうと安室透の声が聞こえた。沖矢さんはシャーロキアンだから好きだろう。
「…こんなものしか出せませんが」
「いえいえ、ありがとうございます。それと…すみませんが席を外してください」
安室透に言われ沖矢さんを見ると頷かれた。分かりました、と言ってリビングを出た。2階に上がり部屋に入った。
『ではまず単純な死体スリ替えトリックをお話しましょう…』
ある男が来葉峠で頭を拳銃で撃たれ、その男の車ごと焼かれた。かろうじて焼け残ったその男の右手から採取された指紋が、生前その男が手に取ったというある少年の携帯電話に付着していた指紋と一致し、死んだのはその男だと証明された…。
『でも妙なんです…。その携帯に残っていた指紋が…。
その男はレフティ…左利きなのに、なぜか携帯に付着していたのは右手の指紋だった…。変だと思いませんか?』
『携帯を取った時偶然、利き手が何かでふさがっていたからなんじゃ…』
『…もしくは右手で取らざるを得なかったか…』
耳に着けたイヤホンから聞こえてくる2人の会話にヒヤヒヤして心臓が痛い…。前に目を向けると私と同じなのか、新一も汗を流している…。
32人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ウォーカー | 作成日時:2018年6月1日 16時