８ ページ4
「恐らく、餌を撒く仕掛けをあの照明に付けていて、それをカーペットで水槽を覆った時に作動させたんでしょう…。亀の体長は１０cm程度…あのプレートの大きさなら亀はすっぽり隠れて前からは見えないでしょう…」
では何故今、その亀がいないのか。答えは簡単だ。誰かがこっそりはがして今も懐に忍ばせているから…。
ここにいる人達はボディーチェックをそれぞれしてもらったが、１人だけ免れた人がいる。
「その人はボディーチェックの前に頬をつねられてキッドの変装じゃないと証明した…次郎吉さん、あなたです」
次郎吉さん本人が水槽の中を覗いていたし、あの時にガラスに張り付いた亀をはがして上着の内ポケットに隠すことができた。後ろは次郎吉さんの体に遮られて見えなかったし。
「って事で調べるぞ！っ！？痛たたた…」
「あ…亀いた！よかったー、まだ元気そう…」
中森警部が次郎吉さんの服を調べると亀が中森警部の指に噛み付いた。その腹いせか亀を持っていたからか中森警部は次郎吉さんの頬をつねった。
でも次郎吉さんはキッドではない。
「わけがあったんだよね！次郎吉おじさん、足元に刺さってたカード見てから態度が変わったもん！」
「多分カードにはこう書かれていたと思いますよ。
『磁石にくっつく合成ダイヤまみれの亀が、本物の赤面の人魚を背負っているとは思えないし…。亀の名前はギリシャ神話の海神ポセイドン…でも飼い主がイタリアの女優ならローマ神話の海神ネプチューンと普通は名付けるはず…そんな胡散臭い宝石亀を高額で買わされた事を知られたくなければ、こっそり回収するのが賢明ですよ』と…」
「そ、そうなのか？」
「あ、あぁ…これがそのカード…。大体、その娘の言う通りじゃ…」
，
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ウォーカー | 作成日時：2018年6月1日 16時
