工藤新一の兄弟(仮)１６ (ページ29)

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「ありがとう…」
「ああ。お、あの辺見てみろよ」

水槽に近づいて見ると小さい魚がいた。模様もついてて、かわいい…。

「まるで子守りね…。手を繋いで宥めるなんて…」
「Aはサメが怖いんだよ」
「迫力あるし人を食べるんだよ？２人は怖くないの？」
「別に…」
「全然？」
「そう…」

見た目は子ども中身は大人って事か…。大人って言っても新一は高校生で私も高校生…。この違いは何なんだろ？

「A、怖い怖いと思うから怖いんだよ。こう考えてみな？サメは探偵だって」
「探偵？」
「そう。サメの嗅覚は１００万分の１に薄めた１滴の血をも感知する事が出来るだろ？聴覚はもっと優れていて４０ヘルツ以下の不規則な低周波を２キロ先から聞き取り、今言った嗅覚で接近し、獲物の出す弱い電気で正確な位置を察知して食らいつく…。
血の匂いを嗅ぎ付けて現場に赴き…持てる感覚の全てを使って犯人を割り出し…食らいついたら相手が観念するまで証拠という鋭い歯を食い込ませる…。な？まるで探偵だろ？」

だから怖がるな、と最後に言って新一は笑った。その隣で哀さんも見守るような目を向けてきて大丈夫に思えた。けど…ちょっと恥ずかしい…。
周りに居る人達にチラチラ見られてるし、小学生に励まされてる高校生の図の出来上がりだよ……。