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ドアを開けるとドバッと水が溢れ出てきた。閉めた時は足首ぐらいまでしか水はなかったはずなのに。
中を見ると山村警部はトイレの上に立ち、目を見開いていて、携帯酸素で必死に酸素を吸っていた。
「な、何て事させてくれちゃってるんですか毛利さん!?危うく溺れ死んじゃう所だったんですから、もォー!!!」
余程怖かったのだろう、目元に涙を浮かべている。流石に悪かったなー…と思った。
「で、でも何でトイレの中にあんなに水が…」
「トイレの中の内圧が下がったからさ!理科の実験で見た事ないか?
火のついたロウソクを立てた深めの皿に水を張り、ビーカーを被せると…ロウソクの火が消え、みるみる内に水がビーカーの中に吸い上げられるヤツ…」
「あれと一緒で密閉されたトイレの棚の上で缶が燃やされ、温められて膨張した空気が…トイレ内の酸素濃度が減って火が消えた事により冷やされて縮み、その分ドアの下の通風口から溜まった雨水を大量に吸い込んだ、というわけ」
この説明であってるか聞くためその人を見た。理科の先生の正木すなみさんを。
順番に説明すると、まず丹波先生を酔わせ車に連れていく。その途中で仮設トイレの中に連れ込んだ。車のキーを忘れたから雨宿りしてて、とか言って…。
そして、すかさずスタンガンで気絶させ、ベルトの後ろに紐を通し便器のフタのつなぎ目に結び立てないようにする。
その後、灯油を入れた4つの缶をトイレの棚に置きドアに南京錠と故障中の紙を貼る。
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作者名:ウォーカー | 作成日時:2018年6月1日 16時