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(……え?)
自分の取った行動に驚いた。ニット帽の男から蘭ちゃんを守るように腕を伸ばしたからだ。
こんな事言うのはあれだが…私は守る側より守られる側が多い。蘭ちゃんは空手をしてて強くて頼りになるから…。
でも今やってるのはその逆。私が蘭ちゃんの立ち位置にいる。
(どうしてこんな…)
ハッとして上を見るとニット帽の男と目が合った。けど男は何も言わずに去っていった。
姿が見えなくなって強ばっていた体から漸く力が抜けた。
会ったことがある。パンダカーの時よりも前に…。見覚えがある…。でも、どこで見たんだろ…?
立ち止まって見ていたせいで蘭ちゃんとの距離が空いたと思い振り向くと、蘭ちゃんも立ち止まって固まっていた。
「蘭、ちゃん…?」
「え?あ、ごめん!」
声をかけると蘭ちゃんはハッとして謝ってきた。何か様子がおかしい…?
「どうしたの?」
「何でもないよ。
じゃあ私ちょっと行ってくるからAちゃん、コナン君の事お願いね」
そう言って蘭ちゃんはトイレに入っていった。何でもないって…さっきの表情、何でもないって表情じゃなかったよ?
蘭ちゃんも同じ、あのニット帽の男の事を知ってるんだ…。
「…何で、そう思った…?」
蘭ちゃんがニット帽の男を知ってるなんて分からないじゃないか。
きっと仏頂面で愛想なさそうで職質受けそうな顔した男がこんな綺麗な建物に居たからビックリしただけかもしれないし…。…いやいや…、蘭ちゃんそんな失礼な事思わないし…。
でもあの顔は犯罪の一つや二つやってそうだ…。もしかしたら私が会ったことがあると思ったのも新聞か何かで見たからかも…。
『その老人の証言こそが決定的な…』
男子トイレの入口まで来ると案の定、新一の声が聞こえてきた。蘭ちゃんが来るギリギリまでこのままにしておこうと思い壁に背中を預け放置した。
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作者名:ウォーカー | 作成日時:2018年4月26日 17時