17 ページ43
「店員の出島さん、ちょっとこっちへ来てくれますか?」
「あ、はい…。
な、何スか?」
出島さんは言われた通り私がいる所まで歩いてきた。すると聞こえた。防犯カメラの映像を見に行く時に聞こえた、あの音が。
「ありがとうございます」
「A君、何なんだねいったい?」
「気づきませんでした?
出島さんが歩く度に聞こえる…金属が当たるような こすれるような、この妙な音に…」
言うと出島さんは靴の裏を確認した。裏には銀紙がガムによって張り付いていた。
「毒針をタバコの中に入れ、ガムにくっつけ、それをガムの紙の上に乗せて床に放置したんです…。放置したのは落としたライターを拾ったというあの時…。タバコを平たくつぶしておけば踏んでも気づかれにくいし、たとえ気づかれたとしてもそのタバコが吸いさしなら、ただの汚いゴミと思って確かめもせずゴミ箱に捨ててくれるってわけです…。
捨てる前に針の先の毒をぬぐったかどうかは…志水さんの良心次第ですけど…」
タバコに細工をしたのは犯行前。このゲームセンターのトイレの中だろう。その紙を丸めてタバコの箱の中に入れておけばいつ取り出しても不自然に見えない。
取り出す時は箱の底を押し上げて指に挟めばいい。
27人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ウォーカー | 作成日時:2018年4月18日 19時