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翌日、病院での抜糸。
「ちょっとチクッてするよ。」
先生に言われてギュッと目を瞑った。
目を瞑る直前、海斗の顔が見えたけどなんで泣きそうな顔してんの?(笑)
少しだけチクっとしたけど痛みには強い自信があるから全然平気。
目を開けて海斗にピースした。
「切った所、まだ赤みがあるけど徐々に薄くなって目立たなくなるから。完全にとまではいかないけど。」
って先生。
看護師さんが鏡を出してくれて、傷を見たら稲妻みたいな形で赤い跡が残ってた。
「なんかハリーポッターみたい。かっこよくない?」
って言うと苦笑いの海斗。
「海斗、ほんとにほんとにほんとーーに気にしないで。そんな顔されたら私が気にしちゃう。この傷のせいで私醜くなったのかな?って。」
「それはちげーから!A、ありがとな。」
2人で微笑み合ってたら先生が「本当に仲良しだね。」って。
なんだか照れ臭くてお互い目を逸らした。
海斗と出会って2週間しか経ってないのに昔から友達みたいな感覚になる時がある。
気が合うのかな。
海斗の家に帰っていつもの様に宿題して千波ちゃんの宿題をみてたらご飯が出来たって海斗ママの呼ぶ声。
テーブルを見ると豪華な食事。
「え?誰か誕生日とか?」
「今日はAちゃんの快気祝い。いっぱい食べてね。」
「海斗ママありがとー。」
どれも凄く美味しい。
私も海斗ママみたいなママになりたいな。
・
いつもの帰り道。
いつもは歩幅を合わせて歩いてくれてたのに今日は少し先を歩く海斗。
「A、なんか困った事あったら俺んち来いよな。父ちゃんも母ちゃんも千波もAの事本当の家族だと思ってるから。」
海斗は前を向いたまま。
「うん、ありがとう。私も料理お勉強して将来結婚したら海斗ママみたいなママになる!結婚できるかわかんないけど(笑)」
って言うと「貰い手ない時は俺が貰ってやるから。」って。
そんな赤ちゃんみたいな顔で男らしい事言うんだもんな。
どう返事したらいいかわかんないじゃん。
「あ、そうだ!俺さ、ジャニーズに入るんだ。学校には毎日来るけど放課後はレッスンに行かなきゃいけないみたい。」
ジャニーズ?
「ジャニーズってSMAPとか嵐とかの?」
「うん。なんかわかんねぇけど受かっちゃった。本格的に入るのは秋頃みたいだけどな。」
って笑ってる。
海斗の背中がなんだか一気に遠くなった気がした。
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作者名:あや | 作成日時:2021年4月6日 22時