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「綺麗…」
「うん。本当に綺麗になったな…」
ん？
どういう意味？
ちゃかを見るとこっちを見てて目が合った。
「花火見ないの？」
「Aを見ていたい…」
ちゃかの顔がゆっくり近づいて来て、瞳を閉じた。
いつもより長めのキス。
りんご飴の味のキス。
唇が離れて目を開けると泣きそうな顔で笑った。
「ちゃか？今日なんか変だよ？」
「花火終わっちゃったね。」
「…うん。また来年も来ようね。」
「来年は無理かな。」
「え？あ、そうか。卒業したらお仕事忙しくなるもんね。」
「A…、別れよう。」
「え？」
「ごめん。」
「何が？」
「今まで付き合わせてごめん。ありがとな？」
「何でそんな事言うの？私、ちゃかの事好きだよ？」
「うん、わかってる。でも…もう良いから。」
「どういう意味？」
「Aは松倉じゃないとダメなんだよ。松倉も…。なのに俺が邪魔をした。」
「邪魔だなんて思った事ない！」
「Aも松倉も優しいからな。正直、もう辛いんだ。」
辛い？
思い返すと何度も見たちゃかの今と同じ苦しそうな顔。
私がそうさせてるのもわかってた。
でもちゃかと付き合っていれば海斗を想う気持ちは薄れると思ってた。
ちゃかを利用したのは私。
「ちゃか？私…ちゃかにたくさん助けられた。なのに私は何も返せないまま…ごめんなさい。」
優しい顔で首を振るちゃか。
「Aの大事な2年間を一緒にいれただけで十分。ありがとう。」
私が泣くのはダメだと思って涙を堪えた。
「あー、すっきりした！じゃ、俺は帰るわ。松倉に連絡して迎えに来てもらいなね？あいつなら飛んで来るから。」
そう言って帰って行った。
堰を切ったように涙が止まらなくて、ひとり泣きながら海沿いの道を歩いて帰った。
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宮近side
覚悟を決めてたはずなのにやっぱり手放したくなくて…最後だからと自分に言い聞かせてキスをした。
俺頑張ったよな？
誰かに褒めて欲しくてスマホを取り出した。
「もしもし？海人？俺、A振ったわ。」
海人は少しの沈黙の後、「お前、かっこいいな。」って。
「海人ならそう言ってくれると思って電話した。」
泣きそうになったのは気付かれてないはず。
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作者より
ここまで読んで頂きありがとうございます。
移行準備できましたので引き続きよろしくお願いします。
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作者名：あや | 作成日時：2021年4月6日 22時
