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松倉side
「おーい、海斗ー！」
休み時間になるとやってくる元太。
「また来たの？お前さぁ、同じクラスに友達いねぇの？」
「いるに決まってんじゃん、俺だよ？」
「だよな…で、何だよ？」
「今さっきAのとこ行ってきたんだけどさ、やっぱ可愛いよねー。」
こいつちゃかに聞こえる様に言ってるな。
ちゃかの眉間に皺寄ってんじゃん。
「海斗が付き合わないなら俺がもらっちゃおうかな。」
「おい元太っ！ちゃかに聞こえるって。」
はぁ…ちゃかが来たじゃん。
「元太、お前なに企んでんの？」
怖えよ。
「別にー。ただみーんなが幸せになれば良いのにって思ってるだけだよ。」
「どういう意味だよ？」
「そのままの意味。ちゃかはさ、幸せ？他の男を想い続けてる子と付き合って。」
「お前っっ！！ふざけんなっ！！」
ちゃかが元太の胸ぐらに掴みかかった。
慌てて止めに入る。
「図星だから怒るんでしょ？おかしいよ、海斗もちゃかも。好きな子の幸せを願うのならこんなのおかしい。」
ちゃかの力が緩んで手が離れた。
「元太、ちょっと来い。」
海人が元太を連れて教室から出て行った。
静まり返った教室。
「…帰るわ。」
ちゃかが帰って行った。
元太はずっと俺とAは何で付き合わないのかって言い続けていた。
それこそちゃかとAが付き合う前から。
Aがちゃかと付き合いだした事を言ったら、そんなのおかしいって涙ぐんで俺よりも悲しんでくれた。
でも俺にはちゃかからAを奪う勇気もAに気持ちを伝える勇気もなかった。
「ちゃかが可哀想。」
元太が一度だけ言った言葉の意味が俺にはわからなかった。
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作者名：あや | 作成日時：2021年4月6日 22時
