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宮近side
花火を見ながら1年前の事を考えていた。
あの時は勢いで(仮)でもいいから付き合おうって言ったけど、結局Aの中から松倉はいなくならなくて…いや、前より大きくなってる気がする。
俺だってAを思う気持ちは大きくなってる。
多分、今日振られんだろうな…。
ちゃんと受け入れられるかな。
Aを見たらぼーっと花火を見てて、あぁ、松倉の事を考えてんのかなって。
「今、なに考えてる？」
聞いたら俺の事だって。
覚悟を決める時がきたか…。
そう思ってたら(仮)はやめてちゃんと恋人同士になろうって。
うそ…。
本当にそれでいいの？
嬉しくて抱きしめた。
Aからほんのりりんご飴の甘い匂いがして去年のキスの味を思い出す。
「キスしていい？」
「今年は聞くんだ。」
去年の事を謝ると優しく笑ってくれた。
瞳を閉じるAの唇が紅く染まってて吸い寄せられる様にそっと唇を重ねた。
去年と同じ味。
でも去年より甘く感じたのはお互いの気持ちが通じ合ったからだと思っていいのかな？
花火が終わって駅に着くと松倉がいた。
松倉の視線が俺らの手に移ると咄嗟に手を離そうとしたから離れないようにギュッと握った。
俺が電車に乗ったら松倉はAを送って行くだろう。
せっかくちゃんと恋人同士になれたのにまた離れちゃいそうで松倉と2人の時間を与えたくなかった。
案の定、送ると言った松倉の申し出を断って俺が送ると言ったら松倉は帰って行った。
2人で歩く海沿いの道。
いつも松倉と帰っていたであろう道。
俺と歩くのは不思議だと言うA。
きっと今、松倉の事を考えているんだろう。
好きって言われても自信がなくて俺のどこが好きか聞いたら全部松倉の事を言っている気がして「それ、松倉にも共通するな。」って言ってしまった。
「ちゃかの事を想って言ったのに。」
って悲しそうな顔。
あぁ、俺ってカッコ悪い。
松倉の影が消えてないのは俺の方なのかもしれない。
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作者名：あや | 作成日時：2021年4月6日 22時
