君と巡る季節 (ページ39)

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宮近side

今年もAと祭りに行けたらいいな。

俺にとっては大切な場所だから。

でもAにとっては楽しい思い出ではないかもしれない。

Aが大切すぎてうじうじして誘えないでいたらAから誘ってくれた。

もしかしたら松倉と行くのかなと思ってたから凄く嬉しかった。

祭りの日、Aは白いワンピース姿で待ち合わせ場所に来た。

浴衣かなと思ってたら去年は松倉のお母さんが着せてくれたらしい。

お母さんとも仲良しなんだね。

松倉とAとの距離の近さに嫉妬した。

屋台が並ぶ商店街に着いたら人が多くてはぐれちゃわないか心配だけど手を握る勇気もなくAを見失わない様にチラチラ見てた。

「あ…海斗。」

俺を呼んだのかと思って返事したらAの視線は違う方を見てて…。

松倉…。

はは…そうだよな。

Aが呼ぶ海斗は松倉の事じゃん。

何返事してんだ俺。

切ない顔で2人を見るAの中に、今俺は存在してる？

堪らずAの手を握ってその場を離れた。

「金魚が欲しいなら俺がとってあげようか？」

「ううん、いらない。」

返事はわかってた。

Aが求めてるのは金魚じゃなくて松倉だよな。

自分で聞いたくせに聞かなきゃ良かったと後悔した。