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「ちゃか君、助けてくれてありがとう。」
「1人でうろちょろしたら危ないよ?」
「迷子の子がいて…。でも今度は私が迷子になっちゃった(笑)」
苦笑いすると「見てたから知ってる。」って。
話を聞いたら海斗達が金魚掬いをしてる間、私がひとりぼっちだったから見てたらしい。
迷子の子を連れて本部に行く時もコソッと着いてきてくれてたみたいで戻ったら皆いなくてちゃか君も焦ってたら私が酔っ払いに絡まれたから助けてくれたって。
「ストーカーじゃないからね?」
って手を振ってる。
「わかってるよ。ありがとう。皆どこ行ったんだろうね。」
「うん、スマホにかけても繋がんないんだわ。人多すぎて電波がおかしくなってんのかも。」
どうしよう…。
探してくれてるのか、はたまた祭りを楽しんでるのか…。
考えてたらドーーンって大きな音。
「花火始まっちゃったね。」
「ちゃか君、着いてきて!」
ちゃか君の手を握って、小さい頃家族とよく花火を見てた秘密の場所へと走った。
「はぁはぁ…ほら!ここ人いなくて穴場なの。」
「すっげぇ。花火が真上に見える。」
しばらく綺麗な花火を見てた。
気づいたら手を繋いだままで。
「あ、手…ごめんっ!」
「ははっ(笑)全然意識してなかったわ。てかここ、松倉と来たかったんじゃないの?」
「海斗にも教えてあげたかったんだけど…。
ここね、毎年家族で花火見に来てたんだ。
パパが秘密の場所って呼んでたの。」
「今年はいいの?」
「うん、私が10才の時に2人とも事故で死んじゃったから去年まで1人で来てた。
でも今年は1人じゃなくて良かった。
あのままはぐれてたらまた今年もひとりぼっちだったよ。」
「相手が俺でごめん。」
「いや、逆に私でごめんね?皆で見たかったよね。」
こんな暗い話までしちゃって。
「何で松倉と付き合わないの?」
聞かれて海斗との出会いの事を話した。
「多分だけど…怪我させちゃったから気にかけてくれてると思うんだ。
さっきあの子におでこ出されて怒ったのも傷痕を気にしてるんだと思う。
私といたらずっと気になってしまうんじゃないかって。
でも自分から離れるのはイヤなの。
勝手でしょ?」
その時、大きな花火がドーンと上がって見上げたら視界が真っ暗になった。
え…。
視界が広がった時には花火がパラパラと落ちていて…
「甘い。あ、りんご飴か。」
唇をペロっとするちゃか君。
キスされた?
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作者名:あや | 作成日時:2021年4月6日 22時