高1の夏 ページ29
楽しみにしてた夏祭りの日が来た。
久しぶりの海斗の家の玄関前。
少し緊張する。
インターホンを押すと海斗が出迎えてくれた。
白Tにハーフパンツのラフな格好だけど似合ってる。
「上がって？母ちゃんがどの浴衣がAに似合うかずっと悩んでんの。」
和室に行くと海斗ママが浴衣を並べて「こっちは大人っぽすぎるかしら…。」って。
「母ちゃん！A来たよ。」
「海斗ママ、お久しぶりです。」
私の方を見て「やだっ、Aちゃん？綺麗になったわねー。」ってハグ。
「今日は少しだけメイクしてみたからかな。」
それから浴衣を羽織ってみて海斗が選んだ白地に青い花柄の浴衣に決めた。
「じゃあ、着付けるから海斗は出てて。」
海斗ママに追い出された。
浴衣を着せてくれて髪の毛のセットまで。
「海斗ママ、ありがとう。まさか浴衣着れるなんて思ってなかった。」
「私も嬉しい。またAちゃんが来てくれて。お祭り楽しんでね。」
部屋から出ると海斗が私を見て口をポカーンとしてる。
「海斗、そんなマヌケな顔しないの！ほら、Aちゃん綺麗でしょ？」
無言でウンウンと頷く海斗。
ちょっぴり照れ臭い。
「海斗、人多いからAちゃんとはぐれないように気をつけてね。」
「わかってるよ。じゃ、行こうか。」
って手を繋いだり…なんて事は無く2人で地元の商店街まで歩いた。
友達だもんね…
「あ、そうだ。今日の祭りの話したらさ、ちゃか達も来たいって。待ち合わせしてんだけど…いい？」
「うん。でもファンの子とか大丈夫なの？」
「まだそこまで有名じゃないから大丈夫だよ(笑)」
そんなもんなんだ。
「下駄歩きにくくない？」
「草履ね(笑)慣れないからちょっと歩きにくいかも。歩くの遅くてごめんね。」
「いや、逆に速い時は言えよ。」
「海斗って可愛い顔して男らしいとこあるよね。」
「可愛いは余計。」
可愛いって言われるのイヤなんだ。
でも可愛いよ？
なんなら良く今まで変な人に誘拐されなかったなってレベルで。
こんな事言うと拗ねちゃいそうだから言わないけどね。
商店街は人がいっぱいでやっと待ち合わせ場所に着いてしばらく待ってたら海くん達が来た。
海くんとちゃかくんと…後ろに浴衣の女の子３人。
「くら、ごめん。どうしても来るって聞かなくてさ。Aちゃんもごめんね。」
女の子達に聞こえないようにコソッと言われた。
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作者名：あや | 作成日時：2021年4月6日 22時
