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千波ちゃんの宿題をみながら海斗とテスト勉強。
「ねぇ、海斗。多分千波ちゃんの方が勉強できてるよ。」
「マジか。やべぇな。」
焦って真剣な表情の海斗が可愛くてつい笑ってしまう。
集中すると口が開いちゃうんだね。
「なんで笑ってんだよ。A、ここわかる?」
「Aちゃん、ここ教えて?」
「今俺が聞いてんの!」
「お兄ちゃんは自分で調べなよ!」
兄妹喧嘩が始まっちゃった。
「こらっ、2人とも喧嘩しないの!Aちゃんごめんね。2人共Aちゃんが大好きなのよ。」
大好き…。
海斗の好きはlike?love?どっち?
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「今日は海斗が大好きな煮込みハンバーグよ。」
「やった!A、母ちゃんの煮込みハンバーグ、マジでうまいから。」
「わーい!いただきます!………うわっ、美味しい!!本当美味しい。海斗ママ、後で作り方教えて!」
「いいわよ。お兄さんの分もあるから持って帰ってね。」
途中で海斗パパも帰ってきて皆でハッピーバースデー歌って手作りのケーキでお祝い。
皆の笑顔が幸せいっぱいで私も幸せのお裾分けを頂いた気分。
幸せな時間はあっという間。
「もう9時だ。そろそろ帰らなきゃ。」
「じゃあ送るよ。」
海斗パパママ千波ちゃんにお礼を言ってお家を出た。
「さむっっ。」
海風が冷たくて身を縮ませた。
「ちょっと待ってて。」
再び家の中に入って上着を取ってきてくれて「はい、これ。」って。
ふわっと肩にかけてくれた瞬間海斗と同じ柔軟剤の匂いに包まれた。
「海斗は優しいね。モテるはずだ。」
自転車を押す海斗に言うと「チビだから全然モテねぇし。」って。
「レッスン楽しい?」
「ダンスした事無かったからめっちゃ難しいけど楽しいよ。俺と一緒の日に入った同じ名前のヤツが2人いるんだけどさ、元々ダンスやってたみたいでめっちゃ上手いの。毎日が初めての事ばかりで刺激になる。」
真っ直ぐに前を見据える海斗がすごく大きく見えた。
「海斗、ジャニーズってアイドルだよね?そのうちファンがついたりするんだよね?もうこんな風に普通に話したり会ったりしちゃダメだよね。」
海斗の足が止まった。
「は?何言ってんの?今までと変わんないよ。」
仲田さんの顔がちらつく。
好きになっちゃダメなんだ。
「もうここで大丈夫。今日はありがと。じゃあね。」
「Aっっ!」
海斗が呼ぶ声にも振り返らず走った。
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作者名:あや | 作成日時:2021年4月6日 22時