中1の秋 ページ14
風が冷たくなってきた頃、海斗は部活に来なくなった。
来れなくなった、が正解かな。
「海斗ね、ジャニーズに入ったんだって。すごくない？」
なぜかドヤ顔の仲田さん。
「ふーん、私ジャニーズとか良くわからないから。仲田さん、海斗が部活来れなくなって寂しいんじゃない？」
「うん、だから辞めよっかなって思ってる。」
自由だな。
ある意味羨ましい。
「あ、海斗っ！」
仲田さんの声に振り返ると教室の入り口に海斗が立ってた。
駆け寄る仲田さん。
「海斗どうしたの？」
海斗より少し身長が低い仲田さんとは視線を合わせずに教室の中をキョロキョロ。
私と目が合うと「あ、A、ちょっといい？」って。
仲田さん、顔に出てるよ。
海斗の元に行くと
「今日さ、晩飯食いにうち来ない？母ちゃんと千波が呼べってうるさくてさ。」
「え、私も行きたい！」
って隣で聞いてた仲田さん。
「は？なんで？無理。」
しょんぼりしちゃったじゃん。
多分海斗の前でだけだけど。
あー、後で睨まれるな。
「わかった。お兄には連絡しとく。」
「よっしゃ！じゃあ放課後迎えに来るから一緒に帰ろうぜ！」
「え、部活…。」
「テスト前で今日から休みだろ？俺もテスト前はレッスン休みなんだ。」
あ、そうだった。
「相変わらずAは抜けてんな(笑)じゃ、後でな！」
戻って行く海斗の背中を眺めてたら「ねぇ、」って仲田さん。
「私が海斗の事好きなの知ってるよね？玉田さんも好きなの？」
好き…だと思うけど恋愛感情って良くわからない。
「好きだけど仲田さんの好きと同じかわからない。」
そう答えると
「じゃあ、もう海斗と関わらないで。怪我だってとっくに治ってんだしもういいでしょ？ずっと我慢してたけどはっきり言って邪魔なの。これ以上、海斗に付き纏うなら私なにするかわかんない。」
付き纏うって…。
でも正直怖かった。
クラスでも目立ってる仲田さんと地味な私。
逆らったら学校で孤立してしまう気がした。
「わかった。でも今日だけ行っても良い？そしたら海斗とはもう話さないようにするから。」
「約束ね。」
険しい顔から一変、ニコッとして席に戻って行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 320人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あや | 作成日時：2021年4月6日 22時
