中1の夏 ページ13
入学して3ヶ月。
あっという間に春が終わって夏休み前。
クラスが違うから海斗とはほとんど会う事もなく、会っても挨拶くらい。
バレー部とバスケ部は体育館を半分ずつ使うから放課後バレーをしてる姿は見るんだけどね。
結局仲田さんは運動苦手らしくバレー部のマネージャーになったみたい。
海斗と微笑み合ってる姿を見ると胸がチクッと痛む毎日。
今も海斗の周りをちょろちょろ。
何か声をかけてる。
いいな。
やっぱり海斗も仲田さんの事好きなのかな…。
「Aっ、危ないっ!!」
顔面に強い衝撃を受けてそのまま床に体を打ちつけた。
「Aっっ!!」
倒れる瞬間、海斗の声が聞こえた気がした。
・
「ん…」
保健室の匂い?
「あ、目が覚めた?ここわかる?」
保健の先生が私の顔を覗き込んでいる。
「保健室…。あれ?私どうしたんだっけ?」
「バスケットボールが顔に当たって倒れたのよ。松倉君が先生助けてって血相変えて来たからビックリしちゃったわ。あなたより彼の方が顔色悪かったのよ。」
「海斗…?」
あ、そうだ。
私、海斗と仲田さんを見てたんだ。
「海斗は?」
「とりあえず部活に戻した。付き添って来たからてっきりあの子も同じ部活かと思ったらバレー部なのね。」
って笑ってる。
「終わったら来るって言ってたからそろそろ来るんじゃないかな?」
先生から痛いところは無いかとか吐き気は無いかとか色々聞かれて答えてたら勢いよくドアが開いて「先生っ!Aは?」って海斗。
「心配かけてごめん。もう大丈夫だよ。」
「A…良かったぁぁ。何でボーッとしてたんだよ?」
海斗と仲田さんの事見てたなんて言えない。
「ちょっとね…。今後気をつけます。」
ってペロっと舌を出したら眉毛を下げて「マジで心配した。」って。
産まれて初めて胸がキュンとした。
320人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あや | 作成日時:2021年4月6日 22時