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松倉君のお母さんの車で先生から教えてもらった病院へ。
車の中でも謝ってばかりの松倉君とお母さん。
「お顔に傷が残っちゃったらご両親にも申し訳ないわ。本当に海斗のせいでごめんなさいね。」
「いえ、私も桜を見てぼーっとしてたんで…それに両親は事故でもういないんで気にしないで下さい。」
そう言うと哀しそうな顔の2人。
「ぷっ…お母さんと松倉君、そっくりですね。」
思わず笑うと「そうなのよ、この子私にそっくりでしょ?」ってニコニコ。
「母ちゃんやめろよ!恥ずかしいだろ?」
「あら、女の子の前だからって…いつもママって呼ぶのにね。」
「もう、それ言うかなー。」
仲良し親子だな…なんて羨ましく思っていたら病院に着いたみたい。
先生に診てもらったらやっぱり縫った方がいいって。
「先生!跡残りますか?」
松倉君が食い気味に聞いている。
「目立たなくなるとは思うけど完全に綺麗には難しいかな。」
泣きそうな松倉君。
「そうですか…。玉田さん、ごめん。」
縫合を済ませて戻ると「痛かった?」って。
「平気。」
って言うとまた"ごめん"って。
「もう謝らないでいいから。平気だってば。」
「わかった、ごめん。」
うん、わかってないよね。
「もう、笑っちゃうじゃん。笑うと傷に響くんだから笑わせないで!」
「ごめん。」
「だからごめんは無しで!」
そんな私達のやりとりを見て微笑んでるお母さん。
帰りの車中。
「抜糸まで毎日消毒に来ないといけないみたいだから学校終わったら迎えに来るからね。海斗もついて来るでしょ?」
「当たり前!」
「迷惑かけてすみません。ありがとうございます。」
「迷惑なんて…元々海斗が前も見ずに走ってたからいけないんだし。昔っから何かに集中すると周りが見えなくなるのよ。」
「桜が綺麗だなって…走りながら見惚れちゃった。」
って笑ってる。
私は桜が嫌い。
パパとママは2人で桜を見に出かけた帰りに事故で死んだ。
だから、桜を見ると辛くなる。
流れる桜並木を車窓からぼーっと眺めた。
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作者名:あや | 作成日時:2021年4月6日 22時