君と巡る季節 (ページ1)

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出会いページ1

「うわっ」

桜をぼーっと眺めてたら男の子の声がして背中に衝撃を受けて倒れた。

おでこがジンジン痛む。

手で触るとヌルッとして指先を見ると真っ赤に染まっていた。

「あ…血…。」

「ごめんっっ！どうしよう。」

涙目でオロオロしている女の子みたいな顔の男の子。

ぶかぶかの学ランを脱いでおでこに当てられた。

「汚れるよ？」

「そんなのいいから！マジごめん。とりあえず保健室！」

君と出会った中1の春。

ちょっとだけ痛い思い出。

・

「あー、これ縫わなきゃだめだね。転んで石かなんかに当たった？裂けちゃってる。で、何で君が泣いてるの？」

「俺がぶつかったから…俺のせい。先生、綺麗に治るかな？」

「治りますか？でしょ？ちょっと跡が残るかも…。あなた名前は？」

男の子から私に視線を移す先生。

「玉田Aです。」

「家に誰かいる？病院に連れて行ってもらわなきゃね。」

「いえ、私、両親いなくて兄と二人暮らしなんで…。」

小3の時に両親を事故で亡くして歳の離れた兄と二人暮らし。

兄は生活の為に大学へは行かず働いている。

「あー、あなたが…。」

先生も事情を把握していたみたい。

「あのっ！俺が一緒に行っちゃだめですか？」

「君もまだ子供でしょ？君のお家は誰かいるの？」

「マ…母がいます！」

「じゃあ、お母さんに連れてってもらいましょう。君、名前は？」

「松倉海斗です。1-3です。」

「私から連絡入れるから迎えに来てもらいましょう。それと縫合が上手な病院に連絡入れとくからそこに連れてってあげて。」

私、大丈夫なんだけどな…。

「あのっ、私病院行かなくても大丈夫です。こんな怪我すぐ治るし。」

って言ったけど松倉君？がダメだって。

保健室の先生に簡単に処置してもらってたら松倉君のお母さんがやってきた。

「本当にごめんなさい。痛かったでしょ？」

松倉君のお母さんは優しくてホッとして涙が出そうになった。