灰色の瞳 ページ6
BCside
どこか寒い冬が恋しく感じる
じりじりと湿っぽい2014年6月の終わりに君と出会った。
st「チャニに紹介しておいた方がいいと思ってな」
bc「ヒョンお疲れさまです、紹介.....？」
作曲づくりに身を焦がしていた頃だった
仲良しのスタッフさんに練習終わりに呼ばれたと思ったら彼の背中に何かいる。
何か、というか誰か。
こつこつと靴音を小さく鳴らして
現れた
うわ。
声に出ていたかどうなのか、出ていなかったらいいけど
凄まじく美しい顔で驚いたのだ
深く被っていた帽子を外すとどう隠していたのか柔らかそうな長い髪がゆらゆら揺れて
作り物のような、誰かの宝物のような綺麗な瞳に吸い込まれそうで苦しくなった
瞬きはするものの彼女はにこりともしないし口を開かない
え、やっぱり人形？そんな訳ないか？
というかオッドアイって、韓国人？アメリカ人？イギリス人？ロシア人？
ほんの数秒の間にいろんな思考を繰り返して出た言葉は
bc「Hi....」
「......あー....ごめんなさい英語があまり得意ではなくて」
st「あははははっ！」
手を叩きながら大笑いするヒョン
笑い過ぎだ。
st「ははは、彼女は日本人だよ」
「初めまして、水冠Aと申します」
bc「ミカムリ？」
聞き慣れない発音
だけど韓国語の発音はいい
bc「あ、バンチャンと言います」
お辞儀をすると同じ角度でぺこり
丁寧な言葉、丁寧な仕草な人
そしてまた生まれた疑問。
こんな練習生いたか？
これだけのビジュアルなら嫌でも噂になりそうな所だけどあいにくとてつもない美人が入って来たなんてことは小耳にも挟んでいない
st「Aさんはね、作曲家なんだよ」
にこにこ、いやニヤニヤしながらヒョンがそう言った
bc「.........はい？」
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作者名：ヨルム | 作成日時：2024年1月25日 13時
