君も知らない ページ44
CBside
cb「....ヨルや」
「はい？」
くるりと椅子を翻し
すっきりとした二重の線が描かれた瞼が上を向き、同時に長いまつ毛も真っ直ぐなまま上を向いた
cb「人のこと言えないけどさ、最近ちょっと作業しすぎじゃない？」
「そんなことないですよ」
A専用の作業部屋、機材以外は何も無い
あ、チョコはあるか。
でも、人の部屋って個性が出るものだと思うけどAは本当に誰が使ってるのか分からないほどいつも綺麗に、整理整頓して部屋を使っている
缶詰状態のAをどうこう出来る人は残念ながら誰もいない
せめて、いつもみたいにイエニには折れてくれたりしたら良かったんだけど
心配しなくていいよ、イエニは早く帰りな、と微笑んでそう言うものだから何も言えないんだそう
肩を落としてソファーに腰掛けた
cb「ご飯食べた？」
「さっきオッパたちと食べたじゃないですか」
cb「それ昼な」
「今何時ですか？」
cb「23時前」
「本当に？」
cb「うん、てことはやっぱり食べてないんだね？」
「あはは」
本当に、恐ろしい
cb「やー早く帰るよ、今日は本当に攫ってでも連れて帰れってマネヒョンに言われてるんだって、」
「分かってます、本当にもう終わるので」
またくるりと前を向いて
カタカタとキーボードを打つ
Aはデビューしてから作曲家として活動を続けているけどそれは俺たちの曲じゃない
同じ韓国の事務所だったり、アメリカの会社だったり詳しくは教えてくれてないけど
それはAなりの配慮なのかもしれない。
Aは俺たちよりもずっとずっと前から曲を作っているし才能と実力が備わり過ぎている
きっと有名なアーティストの曲を携わることになっても俺たちが、気付かないように、傷付かないように
俺たちのそれなりのプライドを守るように
「本当にもう少しで終わりますからね」
cb「うーん」
「どうかしましたか？」
cb「いや、Aは、さあ....」
「はい？」
はた、と
モニターの画面を見るとメールを打っていた途中のようで確かに作り終わってもう送るだけみたい
今回は韓国語だ、
確認よろしくお願いいたします。の後に
cb「Aの活動名って、"Naia"？」
「あ、はい」
cb「へー...！どういう意味？」
「どういう意味って言われると...」
珍しくきゅっと口を結んで首を傾ける
そんなに難しい質問だったかな
「ミドルネームなので」
cb「.....何だって？」
.
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作者名：ヨルム | 作成日時：2024年1月25日 13時
