透きギベオン (ページ18)

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cb「何で学校行かなかったの？」

「どうしてでしょう」

cb「聞いたのに答えてくれない」

「はは」

嘘はつかないけどはぐらかすのは特別上手いんだよな

cb「嫌な奴がいた？」

「どうでしょう」

cb「やー！今すぐぶっ飛ばしに行かないと」

「冗談ですよ」

cb「本当に？」

「はい」

cb「何で今日制服着るの嫌だった？」

「...まだ言ってるんですかオッパ」

ふぅ、とため息を吐くように肩を落とす

「こんな目をしたヒロインじゃMVに沿わないでしょう」

Aの灰色の瞳は生まれつきではない。
まだ幼い頃に難しい病気にかかり左目が灰色になり弱視であると聞いてる
目に負担がかかるからカラーレンズも着けられない

"私は、分かりやすく皆と違います"

デビュー直前にこの話を淡々と言うAを見てリクスは泣いていたっけ
この子にとっての違いとは男か女かとかそんな事ではなく

自分か自分以外か
ずっと簡単で複雑な問題だった

cb「もっと早くAを見つけたかった」

「見つけてくれましたか？」

cb「見つけるよ、今度はもっと、もっと早く」

口角を静かに優しくあげて
夕陽を隠す厚い雲のように瞼に影を落とす

私も。
そう言っているように聞こえた

例えばまだ赤ちゃんの頃に出会っていたならフランスまでついて行ってたかもしれないし
例えば中学生の頃に出会っていたなら同じクラスになれるように先生に土下座して頼みこんだかもしれない

「この曲の好きな歌詞どこだと思いますか」

cb「どこ？」

「"ぼんやりした視野の中、君だけが鮮明に描かれる"」

Aに見つめられるとカチっと時が止まったかのような気持ちになる

「そんな人がいるんですか？」

cb「うん、」

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