文豪達との青春 【学スト】

登校する王子と姫 ページ10

______朝

「ご馳走様」

「さ、行こうじゃないか」

「兄さん、歯を磨いてください」

「じゃあ私はAの髪を梳かしてあげよう」

そう言って兄さんは私の後ろに回って髪を弄る

「Aは何をしても似合うけど……」

「……ポニーテールで」

「でも……」

「ポニーテール！」

そう言ってポニーテールにさせる

一応学校にも校則があるんだから

この人は三つ編みにしかねないからなぁ

「歯は磨いた？」

「兄さんお弁当は持ちましたか？」

「大丈夫だよ」

そう言って外に出て歩く

何も言わずに歩いていると前方に見覚えのある人影

「辻村君は俺のメイドだろ？」

「な、違いますよ！」

綾辻先輩と……水色の髪を上で括ってる女子生徒

そっか……綾辻先輩って付き合ってるのかな

そう思っていると兄さんがいきなり私を歩道に引き寄せる

横をトラックが横切ったのだ

「大丈夫か」

「あ、ありがとう……」

心臓がドキドキしている

だがこれは吊り橋効果だ

兄さんが私を車道に歩かせるわけがない(過保護だから)のでこれは狙ってやってる

というか、実の兄妹だろうが

恋愛的な発展したらお母さん達が心配する！

「澁澤先輩が他校の女子生徒と歩いているわ」

「彼女かしら」

な・わ・け・あ・る・か

兄さんも爽やかな笑顔をしないで

「兄さん、私は此処で」

少しだけ大きな声で言えば女子生徒たちが

「ああ、妹さんか」

「言われれば似てますね」

と言ってた

良かった……手を振っている兄さんに苦笑いしながら手を振ると、後ろから何かがちょこんとぶつかった

「おはよう」

「おはよう、鏡花」

「……先刻、男子生徒がAを見ていた。男子生徒はAのお兄さんを恋人と勘違いしていた。そしてAが兄さんだと言った時、彼らは「僕達の姫がとられてなくてよかった」と言っていた」

え……誰のものでもないし姫じゃないんだけど

「だから、締めておいた」

「いやいや、ダメでしょ？」

そう言えば鏡花はきょとんとした顔で私を見る

「もし校長先生に告げ口されたら最悪退学だよ？」

そう言えば鏡花はハッとした後不安げな顔をした

「……一緒に謝りに行こう」

「うん……」

後ろで倒れていた男子生徒を起こして謝ると意外にすんなり許してもらえた

良かった……というか、兄さんと登校したせいで今日も普通じゃない気がしてしまった

だって、学校始まる前からこれだよ……

二度と一緒に登校しない、絶対に

人間的に失格→←兄の友人

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