文豪達との青春 【学スト】

時間は早い ページ24

時は早く

一週間が経った

学園にも慣れて友人も増えた月曜日

「お、遅れました……」

そう言いながら三十分の遅刻をして入ってきたのは

「敦……」

「え、Aちゃん？」

隣の席の敦

「わあ、久しぶり」

「うん、元気だった？」

「僕は元気だったよ」

そう言いながら敦は手に持っている遅刻届を見つめる

「どうしたの？」

「えっと……Aちゃんは太宰さんって知ってる？」

そう言われて全てを悟った

敦は太宰先輩に遅刻届をもらった

太宰先輩の仕業だと国木田先生は理解するだろう

「……どんまい、敦」

「え、ええ？」

そう言いながら私は授業に集中する

「それと……今度学園祭をすることになった」

「え……」

「学年合同で代表者が劇をする。脚本は三年、演技は二年一年だ」

普通逆では？

「普通逆だが、毎年恒例だ。今回は三年が出て欲しい人を決めたそうだ。えー……今回やるのは“白雪姫”。主役は王様。本来は女王だが変更されて、強さを求めて鏡に毎日世界一強いのは誰かと聞いてる」

……行成原作を崩壊させそうな予感

「これは転校生がやるそうだ」

「え、僕ですか？」

「いや、主役は二年の中原中也だ」

中原……中也

嘘……中也さんも此処か……

「白雪姫は澁澤A」

「え、私？」

「ああ、白髪で肌も白く赤い目をしているから、だそうだ」

……今、初めて己の外見を嫌いになった

「王子は太宰治……白雪姫に求婚するが嫌われてる」

それは此方をモチーフにしてますか？

「鏡は坂口安吾、七人の小人は中島敦、泉鏡花、谷崎潤一郎、宮沢賢治、芥川龍之介、樋口一葉、立原道造。ナレーターは芥川銀だ」

そう言って国木田先生が溜息をつく

「三年は無茶を言うだろうが頑張れ」

そう言われて、本気でヤバイ気がした

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