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「よし、お土産も買えたし満足満足!」
「よかった」
「あっちのさ、テラス席行きたい。そこで、話していい?」
「……うん。寒いけど、いいの?」
「あそこで、蓮くんに話したいんだ」
「……わかった」
いつもまずは俺に同意を求めるAが、ここがいい、って言うのは初めてで。それだけ深刻なんだと、少しだけ不安になった。
「蓮くんが、今日おうちのこと話してくれたでしょ?それ聞いて、私も話さないとなって思って。」
「今日さ、ここに来れて、本当に嬉しかった。でも、ごめんね。きっと心配させること多かったよね、」
思い詰めるように話すAに耐えきれなくて、向かい合わせの席に座っていたけど、隣まで移動した。
「ゆっくりでいいよ」
「うん……ありがとう。今日、悲しくなっちゃってたのはね、昔を、思い出したから。
お母さんとお父さんと、3人で毎年私の誕生日あたりの土日に、ここ来てたんだ。それを思い出したのと、小さい子がお母さんとかと一緒に手を繋いでるのとか見て、私もこう見えてたのかなって思ってたから。
毎年寒いのに、みんな寒いの苦手なのに、ここに来た時だけは、いくら外を歩き回っても、寒い中行列に並んでも、笑顔で、私に付き合ってくれたの。ここのテラス席もね、きれいな夜景が一望できる場所だって、調べてくれてて。夜のパレードも絶対見てたんだ。
文字通り、夢の国だと思ってた。仕事忙しくて中々会えないお父さんとも遊べて、いつも厳しいこと言うお母さんもずっと優しくて。
だけどね、小学4年の誕生日の時、ここに来た帰り道に、交通事故で死んじゃったの……2人とも。」
話し方的に、まさかとは思ってた。確かに、ご両親の話を俺は聞いたことがなかった。
苦しそうに話すAが見てられなくて、抱きしめた。ついに、涙を溢れさせだしたAは、俺のコートを握りしめて。俺も俺で、Aの後頭部と肩を包むように、離さないように抱きしめた。
「……なんで、私だけ生き残ったんだろうって。誕生日だから、助けてくれたのかなって思ったけど、独りぼっちの誕生日なんて全然嬉しくなくて。あの日、ここに来なければ2人ともまだ生きてたんじゃないかって。そんな、意味無いことばっか……お父さんとお母さんが聞いたら悲しませることばっか考えちゃって、」
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あーちゃん(プロフ) - MaNaさん» いえいえ、こちらこそレスありがとうございます!続編が出てくれるだけで嬉しいので、いつでも待ちます! (2022年8月30日 21時) (レス) id: df602a468b (このIDを非表示/違反報告)
MaNa(プロフ) - あーちゃんさん» あーちゃんさん、ありがとうございます!続編、遅くなっちゃうかもですけど、ちょっとずつ考えてみます!めめ担に言ってもらえると本当に感激です!!!! (2022年8月30日 16時) (レス) id: f9dc76f740 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 続編ぜひ、作ってほしいです!めめ担なのでいつもにやにやしながら読ませてもらってます!最高です! (2022年8月29日 22時) (レス) @page44 id: df602a468b (このIDを非表示/違反報告)
MaNa(プロフ) - リンさん» リンさん、ありがとうございます!楽しんでもらえるよう頑張ります!!! (2022年8月24日 21時) (レス) id: f9dc76f740 (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - たまたまおすすめに上がってたので読んでみました〜。めめの狂愛…たまりません😅 (2022年8月22日 11時) (レス) id: 89596a4d56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MaNa | 作成日時:2022年8月7日 0時