絶対離さない。【黒】

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「A、元気やった？」



早速買ったパンをモグモグしながら聞いてきた。



「うん。なんとかね、バイトとかでいろいろ繋いでるかな...。」



「そうか……」



「その様子だと、聞いてるんだよね？私の親のこと」




小4でこの世を去った私の両親。私には引き取ってくれる人がいなくて、孤児院に預けられた。中学に上がった時、まだ売り払っていなかった、一緒に住んでいた家で一人暮らしをはじめた。お金は、それまで両親が地道に貯めてくれていたものを使って。




「うん……。俺もおかんから聞いてな？ビックリしたんよ。ほんまは、Aのとこ行きたかったんやけど、お兄ちゃんの中学の事とかもあってバタバタしとって」




こんなん言い訳やな、とかいいながらも、ほんとに私を思ってくれてるのが伝わる。久しぶりだ。こんなに、心が満たされる気分になるのは。




「こーじ、ありがとね」



「んーん、全然やで。俺はなんもできとらん」






優しいこーじとの久しぶりの再会に心が躍って忘れてた。









私と会話をすること、の意味を。



















「へぇ、向井康二？」



「はい。彼女の幼なじみらしいです。」



「……そっか。わかった」



















「……絶対潰す」

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