絶対離さない。【黒】

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今日も今日とて、なんてことない平和な日








の、はずだった。





「Aせんぱーいっ！」




昼の時間になってすぐ。



Aを呼ぶ大きな声が、俺らの教室に響き渡った。




「あ！ラウールくん！」



「……」



軽く走って、ラウールくんとやらがいる教室の入口に向かうA。



……後輩、？




「Aセンパイ！今日集まりあるの聞きました？」



「え！そうなの！？全然知らなかった、」



「急遽先生が決めたみたいです！他にも回しておいてって先生に頼まれたんで来ました！」



「そっか！ありがとう！他の2年のみんなには伝えとこうか？」



「大丈夫です！もうこの階の先輩方だけなんで！伝えてないの。このまま行っちゃいます！」



「ラウールくんありがとね」



「じゃあ失礼しました！」と言って、去っていったラウールくんを見送って、俺のとこに戻ってきたA。







「……委員会？」



「そー、もう1年生に伝言頼むって酷いよね」




昼飯を机に広げながら言うAに、俺の知らないことが増えていっているように感じた。




「……仲良いの？さっきの後輩」



「ラウールくんのこと？」




「委員会だと仲いい方かな〜」なんて、俺の気持ちも知らずに呑気に答えるA。




「……そうなんだ、」




本心で言えば、他の男に近づいてほしくない。でも、そんなに余裕のない、心の狭い男だとも思われたくない。




そんな葛藤にも気づかず、俺の前でにこにこしながらもぐもぐしているAに、俺は頬を緩めるしかなかった。

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