執着は爪の先まで。 (ページ2)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:3,067 hit

2 ページ2

「今日の放課後俺の友達来るんだけど、いい？」

韓国で暮らし始めてもう1年。私は11歳になり今は自宅学習、兄さんは12歳で中学校に通い始めた

へえ、もう友達出来たんだ。

「いいよ。男の子…だよね、」

韓国の男の子と話すと言ったら近所に住んでる5歳のヨンくんくらい。
だから少し、怖い

　
「…うん、けどAの部屋には入らないように言っとくし、悪いやつじゃないから、大丈夫」

「そっか、良かった」

ー

…兄さん。今すごく兄さんを殴りたいよ

「ねえねえ、名前なんていうの？俺キムテヒョンって言うの」

近い、近い。

ちょっと前、部屋のベランダで育ててるお花に水をやってたら後ろから視線を感じて、振り向いたらすぐ後ろに男の子が立ってた。

「う、わあぁぁあ！！！」

「え、？」

私はびっくりしてジョウロの水を掛けてしまい、男の子はびしょびしょ。

「(…これは、やった)」

もう後悔しかしてない。制服まで濡れたし、どうしよう
そんなことを思いながら慌ててタンスからタオルを引き摺り出し、男の子に差し出した。

「あ、あの…ごめ、ごめんなさい。びっくり、しちゃって…」

俯いてるからどんな表情してるか分からない。怒ってるよね、これで兄さんの友達やめるとか言われたらどうしよう…

「…ありがとう。ごめんね、俺も驚かせちゃった」

やっと顔を上げ、タオルを受け取ってもらえた。

…あ、私と同じくらいの身長かな、ちょっとあっちが高い？

「ねえ、君ってヨナジャの妹ちゃんだよね？」

「あ、はい。そうです」

「そっかー、じゃあここ呪われた部屋じゃないんじゃん！ヨナジャの嘘つき！」

待って、兄さんここを呪われた部屋だって言ったの？
…そりゃ好奇心で入ってくるよ、おばか。

ていうかその嘘を信じて入ってくるこの人も、ばかで純粋な人だ。怖い感じじゃないし、優しそう

そこで、振り出しに戻る。

「ねえ、名前なーにー？教えてよー」

壁に寄りかかり頭を拭きながら足をバタバタさせてるキムさん。本当に中学生？

「…A、です。」

「A…Aちゃん！可愛い名前！」

小さく言ったのにどんだけ耳がいいんだかこっちを向いて、また口を四角くして笑って言った。
この人無意識に言ってるのかな、タラシじゃん

それが、初めて会ったときの感想。