＿193（D.O） ページ43
チャニョルの背中から覗こうとすると、
急に部屋のライトが消えて、スポットライトのように
ピアノが照らされていて…
＿＿＿＿そこにAがいた。
ストリートライブのパフォーマンスのように、
静かに、だけど響き渡る歌声。
ピアノの旋律が悲しく反響する。
抱きしめた温もりが、
この小さな身体が、心が、
離れていた５年間で背負って来たもの。
全てを理解することは難しいかもしれない。
諦めようとしたときもある。
だけど再び繋がった赤い糸。
お互いに成長した部分もある。
踏み出した一歩を後悔しないためにも。
ふと見渡すと、メンバーに見守られてて。
すごい恵まれていると思った。
歌うこと、表現すること。
自分の望んだ世界で、一緒に戦ってくれる仲間がいて。
支えてくれるヨンミニヒョンたちスタッフがいて。
自分を愛してくれるペンたちがいて。
最愛の人がこの腕の中にいる。
恵まれ過ぎていて、
ほんの少し怖いくらいだった。
そのあと、Aも一緒になってケーキを食べた。
大きなケーキにはイチゴがたくさんのっていて、
Aも嬉しそうに食べていた。
顔にクリームをつけ合ってふざけながらも騒いで、
ビーグルがミンソギヒョンに怒られたりもして。
Aはジョンイナにもプレゼントといって
またピアノのほうに戻って一曲演奏した。
ボーカルがまさかのセフナですごい驚いた。
Aの歌声が支えていたけど、セフナが歌いきっていた。
スホヒョンは関係ないのにまた泣いてた。
.
.
.
解散したあと皆で宿舎に戻り、
そのまま俺とAだけAの宿舎に向かった。
ヒョンが運転する車の中で
隣に座っているAの手を握っている。
２人っきりになりたいってのもあるけど、
上着のポケットに隠してある小さな箱。
これを渡さなきゃ。
車窓に流れる光の粒がキラキラしていた。
「これ。」
「ん？」
「貰ったの？」
車を降りるときAは少し大きめな紙袋を持っていた。
「アイリーンオンニたちがくれたの。」
「そっか、よかったな。」
「うん。」
いくつかあるから他にも貰ったのだろうか？
それとも今日ストリートライブの時にペンに貰ったとか？
ユナヌナのことだから検査しないと渡さないだろう。
Aが嬉しそうにしているから何も言わなかった。
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作者名：V.V． | 作成日時：2018年6月18日 0時
