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懐かしい匂いに擽られて、
こじ開けた記憶
大事にしまい込んだ心のカケラ
バラバラになった破片はどこと繋がるのか
ジグソーパズルよりも難解で、
答えなんか分からない
僕の手から伸びた赤い糸
手繰り寄せたら君にたどり着くのだろうか？
あの日から上手く笑えない僕は、
擦り切れそうな記憶の君の笑顔をリピートする。
涙の数だけ強くなれるなんて
そんなのただの御伽噺。
僕の喉からしぼり出た歌
叫び続けたら君のもとに届くのだろうか。
ただ、会いたいんだ
ただ、その手に触れたいんだ
伝えきれなかった「ありがとう」も
隠した言葉の意味も
今なら言える
.
.
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ピアノが紡ぐ最後の音
鍵盤から手を離すとすぐに強い力で抱きしめられた
鼻をくすぐるのは大好きな匂い
安心する温もり
誕生日に相応しい曲じゃない。
そんなの分かってはいた。
でもギョンスに伝えたかった。
あの繰り返されるだけの単調な日々が、
どれだけ苦しくて、悲しくて、
捨て去りたい記憶なのか。
いつか、なんで期待すら持てなくて
悲劇のヒロインみたく塞ぎ込んで
ヒーローを待ってるだけの弱虫。
だけど、今があるのはあの日々のおかげ
また一緒に歌える。
あのベランダ越しで歌ってたときから
もう10年以上も経ってる。
「あの日、最後に言っただろ？」
「＿＿＿うん。」
「急にありがとう、なんてさ。」
「うん。」
「いつもと同じだったのに。
いや、、本当はなんか違うの分かってた。」
「うん。」
「友達にさ、幼馴染みでも男女の友情なんで
存在しないなんで言われて、すこしビビってた。」
「＿＿＿うん。」
「でも心の中で思ってた。
友情なんかじゃないしってさ。」
「うん。」
「お互いのこと誰よりもわかってるなんて
調子こいて言葉になんかしなかったから。」
「うん。」
「だからあの日、俺は
Aを繋ぎとめられなかったんだって。」
「＿＿＿っ。」
「でも、あの約束がある限り大丈夫なんて
自分を守ろうとした。」
Aがいないのは大人の所為だって。
そう言ってギョンスはゆっくりと離れる。
あの日は変えること出来ないけど、
今からを変えることはできる。
「ギョンちゃん、ありがとう。
＿＿＿＿＿＿大好きだよ。」
ん、俺も。
これからはずっと一緒だよね？
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作者名：V.V． | 作成日時：2018年6月18日 0時
