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鏡を覗き込む。
そこに映っているのはBUNNY。
ソラオンニがAをBUNNYに作り替えてくれる。
メイクも服装もいつもとまったく違う。
先に準備をしているアレックスさんのところに向かう。
その足取りは決して颯爽としたものじゃない。
でももう引き下がることができないことも理解していた。
「＿＿お待たせしました。」
「お、Aか。よく来たね。」
逃げずによく来たなとアレックスさんは肩を叩いてくれる。
すでに周りには数人の人だかりができている。
遠くから聞こえてくる聞きなれた曲。
それに合わせてダンスをしている人と見ている人。
その観客たちの視線を、耳を奪うことができるだろうか…？
ユナオンニがカメラを構えていて、数人のスタッフも
人だかりの中に紛れているのが見てわかる。
意を決してギターをかける、するとアレックスさんが
キーボードの前でいくつかの音を出す。
その音に釣られるように声を出す。
メロディーをなぞるように、小さく。
.
.
.
気が付くと歓声の中にいた。
最初とは比べ物にならない人だかり。
携帯のカメラがいくつもこちらを向いている。
カバー曲ばかりを演奏していた。
洋楽のPOP曲やバラードを中心に。
けどユナオンニに提案していた曲。
EXOの「나비소녀」を歌いだすと反応が変わった。
たぶん、、ギターメインに編曲したもの。
この歌を歌うと思い出す。
あのぶっきら棒な優しさを。
繋ぎ止めておくことなんてできなかった。
彼らには彼らの目標や夢がある。
そして今また一つ離れて行きそうになっている。
どうか連れて行って、、君のもとへ。
「＿＿＿＿初めまして。BUNNYです。
最後にもう１曲だけ付き合ってください。」
最後の曲はデビューミニアルバムに収録されていない曲。
まだ未完成のもの。
いつかギョンスと一緒に歌いたい曲。
.
.
.
スタッフが作ってくれた道を人をかき分けるように進む。
隣にはユナオンニがきてくれた。
色んな声の中に「BUNNY」と呼ぶ声も聞こえる。
「良くできたわ。」
「＿＿＿ユナオンニ。」
「それにSNSの反響もいい感じ。
予想以上に反応があってびっくりよ。」
「上手く、出来ましたか？」
「上出来よ。」
泣きそうになるのを耐えているとオンニは
私の頭をそっと抱きかかえてくれた。
勇気を振り絞って顔を上げて振り返る。
小さくお辞儀をして車に乗り込んだ。
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作者名：V.V． | 作成日時：2018年6月18日 0時
