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動き出した車は有名なお店の前で止まった。
ユナオンニが絶対行きたいって言ってた場所だ。
そこを選んだのは彼らのマネージャーらしい。
「ね。A。」
「オンニ…？」
「無理にとは言わないけど、
少しくらいはちゃんと食べるのよ？」
「ね。…わかりました。」
店内の奥に向かう途中でユナオンニに
引き止められて言われる。
オンニはすべて見抜いてるのかもしれない。
「ただでさえ薄っぺらくて軽いのに。」
「…オンニ。」
「少しは健康的にならないと身体が持たないわ。」
「はい。頑張って食べます。」
無理しない程度に頑張ってね。
そういって背中を撫でてくれる手は暖かかった。
.
.
.
「あ、Aヌナ！
遅いよ！どこいってたの？」
「…グク君。」
個室のドアを開けるとぬっと現れたのはジョングク君だった。
ふと部屋の中を見渡すとすでにアイリーンオンニも座っていた。
「ヌナはここ座って。」
「うん、わかった。」
グク君に案内されたのはグク君とナムジュン君の隣だった。
テヒョン君はアイリーンオンニの隣に座ってる。
顔をあげるとテーブルを挟んで反対側にいるユンギ君と視線が合った。
「…なんだよ。」
「なんでもないです。」
「もー、ゆんちゃんは目が悪いから！
すぐその顔するから怖いって。」
「ジニヒョン黙ってください。」
「辛辣すぎ！俺のがヒョンなのに〜。」
ゆんちゃん…か。
そうがユンギ君もゆんちゃんだ。
さっきのスンユン君の顔が思い浮かんだ。
ギョンスが音楽好きなのもあっていつも一緒に歌ってた。
好きな歌手のCDが発売の日は学校帰りに一緒に買いに行って
ギョンスの部屋で一緒に聞いたりしてた。
いくつかしていた習い事のなかでもピアノが一番好きだった。
私がピアノを弾いて、ギョンスが歌う。
そんな小さなことがすごくすごく幸せだった。
でもある日、お父さんにピアノはやめろと言われた。
そんな暇があるなら勉強しろって理由で。
その前に開かれたコンサートに無理を言って
お母さんに連れて行ってもらったんだ。
そこで楽しそうにピアノを弾いていたのがスンユン君。
すごい上手いとか、テクニックとか、
そうじゃなくて感情が音に乗っていた。
色づくように、音が広がってた。
私とは違う、綺麗な音。
心を反映するって、本当なんだって思った。
「…Aヌナ、何飲みますか？」
ナムジュン君に言われてハッとする。
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作者名：V.V． | 作成日時：2018年6月18日 0時
