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今日はAにご褒美があるの。
宿舎まで送ってくれたユナオンニが
去り際に笑顔で言う。
それに首を傾げると、オンニは私の手を取った。
右手に嵌めてある指輪をすっと取られて、
驚いている間に左手に嵌められる。
「いつまでも膠着状態は精神衛生上悪いから。」
「・・・オンニ？」
「すべてを悲観的に考える必要はないわ。
利用されるなら、利用しなきゃ。」
「・・・・・・・。」
「私はAの味方よ。」
ほら、急いでいきなさい。
そう言われて背中をポンと押される。
行き成りのことで考えがまとまらない、
でも分かったことがある。
縺れそうになる足をなんとか動かしていく。
震える手でロックを解除する。
ゆっくりとドアを開けるとふわっと匂いがした。
同じ匂いなはずなのに、違うんだ。
「・・・・っ・・ギョンス・・。」
彼が纏うと匂いが変わる。
「A・・・おかえり。」
「・・っ・・・。」
「なに泣いてるんだよ。」
「・・・っだって。」
「ごめんな。俺が悪かった。」
すぐ、近くにいる。
目の前にいる。
それだけで、涙があふれてくる。
伸ばそうとして躊躇った手を引かれて、
ギョンスの胸に顔をくっつける。
優しく髪を解くように撫でてくれる。
ギョンス、ギョンス、ギョンス…。
どんなに心を否定しても、
誤魔化そうとしても、
無理なんだよ。
ギョンスがいないと
生きていけない、んだよ。
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初めての喧嘩。
初めての仲直り。
離れていた時間を取り戻すように、
ギョンスに溺れた。
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真っ暗闇のなか、
ギョンスの輪郭をなぞる。
するとギョンスは小さく笑った。
「あの歌のタイトルは？」
「あの歌？」
「そう、Aのデビュー曲。」
「・・・・・内緒。」
「なんだよそれ。」
「もうすぐ発表される、から。」
「ユナヌナから少し聞いてるけど、
なんでまたチャンミニヒョンと一緒なの？」
「・・・・・。」
「色んな意見あるけど、その中にお似合いって
やつがあるの知ってる？あれ、嫌。」
「嫌？」
「なんだよ・・・。
ああ、最近思ったんだけど俺心狭いみたい。」
「そうかな？」
「だってAの中にこれ以上人が
増えるのあり得ないって本気で思ってるから。」
そう言いながらギョンスは深いキスをくれる。
私、だって思ってる。
その言葉は飲み込まれた。
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作者名：V.V． | 作成日時：2018年6月18日 0時
