＿101 ページ1
感じる温もりと
安心できる匂い。
はっきりとしてくる意識とともに
ズキズキと鈍く痛む頭に顔を顰めた。
確か、ユノさんとご飯・・・
あれ・・・？
＿＿＿＿＿＿＿記憶がすっぽりと抜けてる。
首を横に向けるとそこにはギョンスがいた。
大きな瞳は閉じている。
少し開いてるハート型の口に目がいく。
ぼーっと見つめてると
片目だけギョンスは開けた。
「・・・ん、A？」
「あ・・ギョンス。」
「まだ・・夜だよ。」
「うん。」
「もう少し、寝よ。」
そう言われて頭を撫でられる。
伝わる温もりに瞼が下がっていく。
隣にギョンスがいる事も疑問だった。
さっきまでお店に居たはずだ。
それにここは私の家じゃない。
布団の色が違う・・・から。
でも見渡すこともできない。
ギョンスの腕ががぎゅっと私の身体を抱きしめてる。
「・・・ほら、もう寝よ。」
「・・・・・うん。」
「ふ・・・チャルジャ。」
「チャルジャ。」
ちゅ。
ギョンスはおでこにキスをくれる。
微睡む思考。
今は何も考えなくてもいい？
誰も返事をくれないまま
また意識は沈んでいった。
.
.
.
.
.
.
色んなことがあって不意に怖くなる。
ギョンスに隠し事をしたいわけじゃない。
けど、なぜか言い辛かった。
オッパと強制的に呼ばされてることも。
自分が��BUNNY″だということも。
いつかは知られてしまうことなのに。
その「いつ」が来ないことを祈ってた。
ひとりでに歩き出したBUNNYを
繋ぎ止めておけるか不安だった。
乾く口をどうにかしたくて近くにあったグラスを飲み干した。
喉を通る熱い液体に眉間に皺が寄る。
視界にグラスを持ったまま驚いてるギョンスがいた。
あ、私が飲んでいたグラスを持ってる。
・・・・じゃあ、これは誰の？
その考えはふわふわした何かにかき消された。
考えても正解なんて導き出せない。
今の私は・・白紙の地図の上にいるようだ。
ギョンスへと続く道を必死で探してる。
細く続く道が途切れないように。
テミナが言ってたように本当は逃げたい。
目の前にある壁を壊すすべはない。
向けられる負の感情はなくならない。
だから私はもがくしかないんだ。
ギョンスをもう二度と諦めないためにも。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：V.V． | 作成日時：2018年3月23日 23時
