Cherry Bomb（2）

＿77（EXO) ページ27

本当は嫌だ。

もう帰りたい。


ウーファンもルハンもいなくなって。
頼れるのはイシンだけだ。


最近じゃ、家族に戻ってこいって言われる。
憧れた世界で頑張りたい気持ちもある。

でも、限界がきてる。




【そんな顔すんなら出るな。】

TO【A姐姐。】



カツカツと歩いてきたA姐姐。
デコピンされた額が少し痛い。


【なるほどね。そんな顔になってるか。】

TO【頑張ってるのに、ダメなの？】

【怪我は大丈夫なの？】

TO【ちょっと長引いたけど、平気。】



出来上がったMVは最悪だった。

何回も何十回も踊った。
みんなにも同じだけ迷惑かけてしまった。

ヒョンたちがイライラしてるのも分かった。

いつもみたいに踊れない自分も嫌だった。


でもカムバックは延期してくれなかった。




【それ最初から分かってたでしょ。
韓国人じゃない人がこの国で頑張るってこと。】

TO【ある程度理解してたよ。
だって練習生だったときも上手く喋れないの
バカにされたこともあるから。】

【まあ、EXOが思いのほか売れたってのも
気が狂いそうなくらい忙しい理由かもね。】

TO【・・・・・。】

【パンダが止まると、何百って人が止まる。
それを会社は許してくれなかった。】

TO【タオ、もう嫌だよ。】



A姐姐が言ってることも分かる。

タオだって大人だし、仕事だって理解してる。

でもペンにまで色々言われて、
これ以上ここで頑張る意味を見出せない。



【逃げるのは簡単よ。
君が思うほど大変なんかじゃない。】

TO【・・・うん。】

【でも、取り戻せないって覚悟は必要。
逃げ出した先輩が言うんだから確かよ。】

TO【姐姐？】

【ノアを生んだのは義務だったかも。
宿った命を奪ったりできなかった。でも同時に
なかった過去にしたいとも思った。】

TO【それでもノアを愛してるでしょ？】

【もちろん当たり前。最愛よ。
今の私はノアがいるから生きてる。】

TO【タオもう少しだけ頑張る。
それに先を考えて行動する。そう言うことでしょ？】

【そうね。私を呼びつけておいて、
ステージでませんとか言ったらぶん殴ってたわ。】



そういって真顔になる姐姐。

自分の身の危険を感じてさっさとジャケットを
受け取ってステージに走っていく。


さっきまで重たかった身体が

なんかやけに軽く感じで、不思議だった。






「逃げても拾ってくれるやつもいるわよ。
結局あんたも愛される人だから。」



A姐姐の言葉は聞こえなかった。

＿78（GOT7）→←＿76（miss A）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す