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タクシーを降りて空港のロビーに出る。

チェックインを済まして、もう入ってしまおうかと

思いながら掲示板を見る。



あの時、そこに書かれている行き先を見た時。

ひどく安心して泣きたくなった。

でも今は違う。




自分のしたいこと、すべき事。

決まったから。









不意に鳴る携帯の画面を見て驚く。

そこにはテグンの名前。




「…ヨボセヨ?」

LE「A」

「テグン…どうしたの?」

LE「お見送りって思って…。」




テグンの言葉に電話から聞こえる音と
携帯を当ててない反対側から聞こえる音が重なる。




「…どこにいるの?」

LE「後ろ振り返って見て。」




振り返ると人混みの中に一つ頭の飛び出ている人。

キャップを被り、サングラスをしている。

変装してるのかもしれないけど、分かる。

パッと振り返って視線を逸らす。





「なんて来たの?騒ぎになる前に戻って。」

LE「せっかく来たのに酷い。苦笑。
でも近寄らないからそのまま聞いて欲しい。」



その言葉にもう一度振り返って
サングラス越しの瞳と視線を合わせる。

私たちの間を人々が通っていく。




LE「フライトの時間ジェファナに教えてもらった。
抜け駆けなしないって(笑)
その意味Aも気づいてるでしょ?
…今は返事が欲しい訳じゃないから返事しないで。
それに今だと返事分かってるから。

俺、頑張るから。これからも努力する。
レオとしてもテグンとしても。

だから目を逸らさないで。
俺から、…俺たちから。」



なにも言えなくて、その瞳を見つめる。

サングラスをすこしずらして私を見ている。




「私も頑張るよ。必死に努力する。
テグンたちに負けないように。
もう逃げたくないから。ありがとう。
側に居てくれて。支えてくれて。」

LE「なんでそんな嬉しいこと言うんだよ。
ここじゃ抱きしめることもできないのに。」

「もう、パボ。」

LE「うん。それでもいい。」

「もう行くからちゃんと戻って。」

LE「うん、またね。」



電話を切って振り返って歩き出す。


ゲートに入る直前で聞こえた足音と
強く抱きしめる腕の温もり。


耳元で自分の名前を呼ぶ声。


でもそれは本当に一瞬で。

背中をそっと押される。


私は振り返らずにまた歩き出した。

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作品ジャンル:タレント
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作者名:V.V. | 作成日時:2016年9月22日 22時

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