山田先輩と私 〜第三章〜

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食べ終わった頃、裕貴くんのスマホが鳴った
裕貴くんがポケットから取り出して、画面を確認する







『、、、』






明らかに表情が変わった
そして、そのままポケットに入れた





「いいの？」

『うん。』






仕事の連絡は、いつも必ず出てる
てことは、、、プライベートかな


またすぐにスマホが鳴った
裕貴くんは確認すると、ため息をついた




『ごめん。共演者の子からなんだけど、しつこいから出る』

「うん。」




共演者の子、、、誰だろう
裕貴くんは、困った顔をしたまま、通話ボタンを押した




『もしもし。、、うんいいよ、全然気にしないで。』



表情とは裏腹に、裕貴くんの声は優しい
なんの、話だろう、、、




『また？警察に言った？』
『うーん、、ごめんね、ほんと申し訳ないんだけど今日は行けない』
『うん。とにかくさ、鍵確認して部屋にいなよ。うん。』




警察、、、？？なに、何が起きてるの？




『ごめんね。うん。じゃあまた現場でね』




裕貴くんはスマホを切ると、
申し訳なさそうな顔をした




『ごめんね。あ、この子ね、今の』




裕貴くんは、スマホの画面を見せてくれた



トークルームの名前に目をやると、



“さなえ”



、、、女の子。




なんて言っていいかわからず黙っていると、
裕貴くんは話しだした

さなえさんは、私と同じ年齢くらいの女優さんで
家の前にストーカーと思われる不審者がうろついていて、
連絡を受けた裕貴くんが家に行ったこと。
部屋にはあがってないこと。
連絡をとるのは、その時が初めてだったこと。






『ごめんね、隠すことでもないから言っておこうと思って。』

「うん、、、」

『なんもないから、心配しないで。』






裕貴くんの言ってることは本当だと思う
けど、、、なんだか、現実を突きつけられた感じがした
さなえさんの言うことが本当かはわからないけど
こうやって裕貴くんに近づこうとする子なんて、山程いるんだろうな
私のところにずーっといてくれる保証なんて、
ないんだよな






『A、、？どうした？』

「あ、、、ううん、大丈夫。さなえさん、なんにもないといいね。」

『うん。』

「、、、行ってあげたら？」

『え？』

「怖い思いしてるんだよね。行っていいよ」

『、、、行かない。』

「でも」

『だってA、泣いてる』

「え？」






頬を触ると、涙がつたっていた

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