人気者とわたし

16　…裕貴 ページ16

裕貴side


勢いでIDを渡してしまった。
あのあと帰宅して、現在22時。

未だに連絡はない。


『だめだったかー、、。』


大きなため息をついてベッドに仰向けに転がる
スマホが気になって仕方ない
シャワーを浴びる余裕もなかったけど、
さすがにもう来ないか、、

シャワー入ろ。

タオルを準備しはじめたその時、
スマホのバイブレーションが鳴った


慌ててスマホを確認すると

“Aさんが友だちリストに追加されました”

ま、ま、ままままじか！！？

可愛い猫のアイコンだった
猫、、実家で飼ってるのかな？
いやいやそうじゃなくて！


“新着メッセージ”


Aちゃんからだった


【Aです。ID、ありがとうございます。】


、、終わり！！？


【ありがとう、待ってた！】
いや、なんかきもいな
【こんばんは〜！ご飯なに買ったの？】
いやもっときもいぞ？


打っては消し、を繰り返す


【ありがとう。うれしい】

、、これだな。送信。

返事はすぐにきた


【わたしも、うれしいです】


、、まじ？


えええい、勢いだ！！


俺は通話ボタンを押した


―――――もしもし。


スマホから聞こえるAちゃんの声。
かっわい、、、


『あ、ごめんね！？突然かけて、、大丈夫かな？』

―――――はい、大丈夫です。

『えっとー、、なにしてたの？』

―――――あ、お風呂入ろうかなって

『ほんとに！俺もシャワー浴びようかなって思ってた』

―――――ごめんなさい、LINEしちゃって

『いや！すごい嬉しかった！来ないかと思ってた』

―――――わたしも、、友達になりたいなって


Aちゃんの声は、少し震えている


『ほんと、、？無理させてない？』

―――――とんでもない！男の人に初めて、そう思えたからうれしくて

『そうなの？』

―――――はい。これから仲良くなれたら


これは、、聞くしかない。


『あのさ、、吉沢くんと、付き合ってるの？』


沈黙が流れた


『Aちゃん、、？』

返事がない

『ごめん、聞いちゃだめだったかな』

―――――いや、、あの、そのことは、ちょっと、また今度話してもいいですか

『、、？わかった、今度。』

―――――あ、電話きちゃった

『え？あ、ごめんね！出て！またあしたね？』

―――――はい。おやすみなさい。

『おやすみなさい！』


また今度、、、？
付き合ってるかどうか答えるのに
そんなに迷うことがある、、？
どっちにしろ、なんか楽しそうな話ではないな。


『はー、、、』

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