ノスタルジック・ナイト -Ken.M- (ページ3)

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「えっ…あ、英語がちょっと難しくて」

そう言うと、彼女はふふっ、と微笑んだ。まるで目の前に天使が舞い降りたようだ。

「どこが分からないの、見せて」

突然現れた彼女を前に、ぼんやりした頭でテキストを渡す。

すると、彼女は一瞬でその内容を理解したようだ。丁寧な言葉で、ぼんやり頭の僕にも分かりやすく説明してくれた。

「あ、そういうことか…わかったよ！ありがとう！」

「ふふ、どういたしまして」

これで彼女との会話も終わりだな、と思ったらーーー

「あなた、名前は何？私はAA。よろしくね」

名前を聞かれるなんて。

「あ、僕は三宅健です、よろしくお願いします。えっとよく自習室にいます、家だと集中できないから」

よく自習室にいるなんて、ほんとは、嘘だ。でも、そう言ったらまた会えるかな、なんて思ってしまう自分がいた。

「私も自習室よく使うの！じゃあ、また会えるかもね？」

そういうと、またね、と言って彼女は自習室を出た。

僕の目は彼女の後ろ姿から離れなかった。