もう一つの夢物語【wr*wr*d!】 (ページ8)

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治療と睡眠。ページ8

私が飛び起きたのは一体何時なのか。もしかしたら何日も経った昼なのかもしれないその日差しを見て、私はぼんやりと先日の事を思い出していた。
突然現れた謎の奴ら、撃たれた右肩、はたまた突然現れた神と名乗る男。

…夢でも見ていたんだろう、と右手をついて立ち上がろうとした。そう、立ち上がれなかった。力が入らない、のだ。動かすことは出来るのにナイフの一つすらこの右手は持てやしない。その事実に私は思わず苦笑いをするしか無かった。
つまり、もうナイフを二つ使うという戦法が取れない。奇襲をかけるならまだしも、正面でやり合うにはかなりのハンデだ。
そんな事を考えていたらなんだか急激にお腹が空く。ああ、そういやあれから何も食べてない。
食べるはずだったおにぎりに手を伸ばし、久々に感じるその美味しさに頬を緩ませた。

この絶望的な状況で笑うのは、とても困難な事だろう。今から孤児院に行ったってこんな如何にも危ない子供を保護して貰えるわけもない。最悪私が餌になってしまう。折角生きる為にこんな事をしているのに、何が悲しくて自ら死にに行かなきゃいけないんだ。笑った襲撃者の顔が鮮明に思い出せて、無性に悔しくなる。赤いマフラー、黒髪赤目の男に金髪赤目の男。憎くて堪らないその相手、いつか出会ったら殺してやる。そう心に誓って、私はごくりと水を飲んだ。

いつだったか。
こんな生活を続けてたら君の心が持たない、と言われたのは。元々人を殺すのだって、生きる為に仕方なくやっているんだ。心の内でなりを潜めてる抵抗心に見ない振りをして、私はそうやって生きているのだから。
いつだったか。
それを改善するたった一つの方法、それを聞いたのは。それを聞いて、悲しいほどに私は笑うしか無かったのは。

いつからだったか。
私がこの生活を、この殺しを、狂った様に楽しみ始めたのは。