もう一つの夢物語【wr*wr*d!】 (ページ4)

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夕焼と憂い。ページ4

道具屋兼武器屋のおじさんは裏路地の事を何故かよく知っている。武器を売っているのか、と聞いたら地下室の武器庫に案内された時はびっくりした。ちまちま集めていたらこうなった、と自慢げに話す彼には感服する。少し埃を被ったサバイバルナイフを布で綺麗に拭いて彼はそれを手渡す。拳銃を何処に入れようか、と迷っていたら彼はホルダー付きのベルトを渡してくれた。お代はタダでいいらしいので、有難く受け取る。

外を出た頃にはほぼ空は赤く染まっていた。先程の喧騒は何処やら、いつも通りの大通りをぼんやりと眺めて路地裏に帰る。私はまだ子供だから働いて稼ぐ事も出来やしないので、此処にずっと居ても意味がない。孤児院は嫌だし、親を決められるのはもっと嫌だ。そもそも此処に来るまでの記憶が無いから勉強だって出来やしない。全くどうしてこんな事になったのか、とため息交じりにけもの道を歩く。まあ大方現在しか見られない馬鹿な人間が未来を考えず本能のあるがままに走った結果、だろうか。ああ、面倒臭い。とっとと新しい餌でも降りてこないだろうか。人通りが極端に減った此処は路地裏に近い一本道、昔の名残か壊れかけの建物が散乱したその一つに入っては拳銃を持ってみる。少し重いけれど確りとしたその機構を見やって弾を装填してみる。

たぁん、と軽快な音と共に目の前の壁に弾が刺さる。ああ、これは想像以上の代物だ。にやける心を抑えつつ、私は路地裏へと向かった。

私は生憎と、人の気配には気付かなかった。

好奇心と猫。→←黒色と偽善。