もう一つの夢物語【wr*wr*d!】 (ページ26)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:10,116 hit

世界と回る。ページ26

そしてその後一ヶ月は大した事もなくただこの廃城…少し崩れ掛けている本拠点で何事も無く過ごした。最も門番役の二人…正確には三人の鎧が汚れていた時は何かを察するしか無かったが。

「Aちゃん、調子はどう？」
「やっと歩ける様になったよ、最もまだ下手に力を入れると転ぶけど。」

「良かった良かった。あ、そういや今日は会議があるからお昼ご飯食べた後はグルさんの部屋集合ね。」

「…ああ、ついに戦争か。」

「多分ね。にしてもまだリハビリ中なのに酷な事するなあ…。」

「そうか？私はとても楽しみだ。やっと戦争が始まるんだから。」

「ああ、うん…Aちゃんも大概毒されたよね。まあ仕方ないかあ、じゃあ僕は大先生とかに声掛けてくるから。」

「はいよ、わざわざ有難うロボロ。」

短い会話を交わして彼は私の部屋の扉を閉める。ああ、やっと待ち侘びた戦争が。そもそもこの一ヶ月普通に生活出来たのがおかしい話のかもしれない。今攻めればこの国は崩壊しただろうに、他の国は別の争いで我が国まで目が回らなかったらしい。ばぁか。

特段変わらない昼飯を食べ、私はもう何度目かも分からないグルッペンの自室へとノックも無しに入った。

「会議、って聞いたけど戦争？」

「勿論だとも、待ち望んでいた戦争だ。しかし…まだ大先生とシャオロンとコネシマは来ていないな。」

「門番だから交代制で昼飯だろ？ならまあ遅れるのも仕方ないと思うなぁ。」

他愛もない話をしていればようやく部屋の扉が開き、笑いながら三人が入室する。

「悪い悪い、遅れたわ！で、会議やろ？どこを攻めるん？」

直球。この場にいる全員が戦争だと分かっているのだ。まあそりゃそうだろうさ、国民の大半が死んだこの国でする事なんてそれ以外考えられない。

トントンが黒板を引っ張り出して予め書かれている地図を指す。どうやら今回攻める国はそれなりの武力を持っていて前みたいに三国宣戦布告、なんて事は出来ないらしい。しかしその隣国の王様が最近不審死を遂げた…まあ、我が隊長ゾムが暗殺したのだが。それのせいで各国が疑心暗鬼、目的の国は色々な方面に兵を置いているので戦力が分散しているらしい。一点集中が出来ないのはかなりの痛手だろう。無論そのせいで隣国とは仲が悪く援軍などが送られる状況でもない。孤立国になったわけだ。
長ったらしい説明を横耳にちらちらとメンバーの顔を見る。
ゾムもトントンも普段通りに見えて笑顔が見え隠れしている。
ああ、楽しみだ。