65-過去(2) ページ18
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天上金、というものがある。
世界政府加盟国が毎年天竜人に納めるお金のことだ。
国の規模によって金額は変わるため、我が国は他国に比べれば金額は少ない方ではあったが比例して負担が減るわけではなかった。
それでも、納めないわけにはいかない。
天上金を納めなければ非加盟国へと堕ちてしまう。
非加盟国になれば、すぐに海賊に目をつけられて無法地帯と化す。
しかも政府は非加盟国を助ける義務はない。
仮に助けを求めたところで無視されるだけだ。
そんなことになれば、国は崩壊するだろう。
非加盟国に堕ちるわけにはいかない。
いつもいつも、天上金を献上できるのは期限ギリギリだった。1年かけてお金を集めてなんとか献上し、一息つく間もなく来年に向けての対策を考える。
父はいつ見ても忙しそうだった。
幼い頃は「王様って大変なんだなあ」ぐらいにしか思っていなかったけれど、今なら父の尋常じゃない忙しさの理由が分かる。日々の業務に加え、天上金の管理もしなければならなかったからだ。
母は私が10歳になる前に亡くなってしまった。
元々病弱な体質で、私とレアを産むのも文字通り命懸けだったらしい。母は亡くなる直前まで私とレアの前では笑顔で振る舞っていた。心が強い人だったのだ。
母が亡くなる少し前、父は1人で泣いていた。
「おやすみ」の挨拶をしようと部屋を訪れたら、椅子に座って顔を伏せながら、声を噛み殺して静かに泣いていた。父は人の前で、というよりも母の前では泣けなかったんだと思う。だから1人で泣いていたんだ。
家族の前でさえ“王”としての威厳を保った父の素顔は、とても弱々しいものだった。
そんな父が最愛の母を失ってしまっては、平常に業務を行えるわけがなかった。少しずつ支障が現れていた。それは数年の時を積んで、ついには天上金にまで及んでしまった。
______天上金が間に合わないかもしれない
1年前、ついにそう言った。
王女の地位を獲得したばかりの私は、あまりに大きな問題を突きつけられてどう対処すればよいのかわからなかった。刻々と時間だけが過ぎていく。
そんな時、事件は起きた。
天上金納期の少し前、父は亡くなった。
船の残骸と共に遺体が海に浮かんでいるのが早朝に発見された。波に巻き込まれた事故死だろうと判断されたけれど、国民は簡単に納得しなかった。
船の残骸の近くに、ある物が浮かんでいた。
それは我が国に代々伝わる国宝の一部だった。
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ぱぅち(プロフ) - 宙さん» ありがとうございます…！！（ ; ; ） 新作の構想を練っています！もう少々お待ち下さい(^^) 最後までお読み頂きほんとに感謝でいっぱいです！ (2020年7月20日 0時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - 完結おめでとうございます！次回のローさんも楽しみです(´∇｀) (2020年7月18日 21時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 恵那さん» お久しぶりです！無事完結して作者もホッとしております。笑 わわ、ローさんをもっと好きになって頂けたなんて嬉しすぎます（ ; ; ）書いた甲斐がありました！ 最後までお読みくださりありがとうございました！ (2020年7月18日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - おそらまめさん» ありがとうございます…！完結後もお会いできて嬉しいです（ ; ; ）物語的にはこれでお終いですが、きっと2人の幸せはこれからきちんとした形になっていくのだと思います…！素敵な感想を頂けて光栄です。最後までお読みくださりありがとうございました…！ (2020年7月18日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
恵那 - お久しぶりです！完結お疲れ様でした！！この作品に出会えて、ローさんの事がより好きになりました！本当にありがとうございました！！ (2020年7月18日 19時) (レス) id: 98e7f0577c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2020年4月5日 11時
