039-きっかけは人参 ページ40
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放課後、一旦家に帰ってから、コラさんが置いてくれた1000円札を財布に入れてスーパーに行った。
買い物カゴ片手に野菜売り場を眺めつつどうしようかと思案する。
自分で作ってみてもいいけど、……
家事の火が怖くても料理の小さな火ならなんとか扱えるし。
何を作るかも決めないまま、とりあえずテキトーに目に入った人参を手に取ってみれば。
「人参なら色が濃くてツヤがあるものがいいよ」
「へ？」
横から飛び込んできた男の子の声。
驚いて振り向けば、髪で片目が隠れた男の子がニッと笑って立っていた。
「んで、芯が小さくて重くて……」
ぶつぶつと知識を呟きながら数本の人参を物色し、その中から一本を選び出す。
そして私に「これがいい」と差し出した。
「人参買うならこれがいいよ」
自分の知識によっぽどの自信があるのだろう、男の子の目は真っ直ぐで揺らがなかった。
……どうしよう。
何作るか決めてもないけど、人参があったから取ってみただけなんです。
なんて親切にしてくれる彼に言えるわけもなく。
「あ、ありがとうございます……！」
御礼を言って受け取った。
彼は満足気に、でも爽やかに笑う。
同い年か少し上くらいだろうか。
「おつかいとか？」
頭を下げて去ろうとするとまた話しかけられた。
「いや、今日家の人いないから、自分で作ってみようかと……」
「へェ。偉いね」
「いえそんなことは…！でも、一人で作ったことないからちょっと不安で」
「なら、おれが手伝おうか？」
ここで本日二度目の「へ？」を発する。
彼は変わらず優し気な笑みを浮かべている。
「おれはサンジ。こう見えても飲食店を手伝ってんだ」
確かに彼のカゴには、調味料やら野菜やら肉やら魚やら、料理に慣れた人が選ぶようなものがたくさん入っていた。
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アマシギ - 素敵すぎる…！！どの作品もとても優しさあふれるお話ですね…。応援してます！！ (2022年9月23日 22時) (
レス) @page44 id: 4cd718819a (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - 最っっ高です、、、素敵な作品に出会えました。本当にありがとうございます。これからも頑張ってください。応援してます！ (2022年7月20日 20時) (レス) @page44 id: 70b28d3e93 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - 泣いた…。めっちゃ素敵なお話でした…。ありがとうございました…！ (2021年6月25日 19時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ゆゆさん» わわわ、ありがとうございます…！完結してしばらく経ってもコメントを頂けて嬉しいです（ ; ; ）この小説では如何にしてコラさんと夢主の距離(家族としての)を縮めていくかめちゃくちゃ試行錯誤して考えたので、そう言ってもらえて嬉しいです…！ありがとうございます (2020年8月6日 17時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 初めまして！とんでとない素敵な作品に巡り会えました・・・読み終えた後、心がめちゃくちゃぽかぽかしました、最高です......(TT)特に作文のシーンなんかは感動しすぎて泣いてしまいました（笑）ぱぅちさんの小説、とても大好きです。これからも応援しております、、！ (2020年7月8日 0時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年7月10日 20時
