025-大好きな人たち ページ26
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「作文のね、宿題が出たの」
食べ終えた食器を片付けて綺麗になったテーブルの上に作文用紙を置く。
題名と名前を書いたっきり、進む目処が立たない。
題名を見てローは大方察したようで、「…なるほどな」と溜息交じりに声を漏らした。
「無責任な宿題出すよな、学校も」
「…………先生には無理しなくていいって言われたけど、そうやって特別扱いされるのも嫌で」
ローは私の頭に手を置いた。
触れられると安心する、優しくて大きな手。
これがきっと、ローの励まし方だ。
下手に言葉で慰めようとせず、欲しいものだけをくれる。
私が求めているものをローは知ってるんだ。
「何を書けばいいのか、わかんなくて」
頭に乗った手に自分のを重ね、頬のところへ移動させる。
この温もりが欲しかった。
「本当の家族はママだけど、今の家族はコラさんで、でも二人とも大好きだから、どうしようかなって思ってて」
「……話を割るようで悪いんだが」
「うん？」
「____お前、父親は」
小さく目を見開く。
忘れかけていた傷がじんわりと痛み出す。
もう塞がりかけていた傷。
ローの手をそっと離し、ゆっくりと首を横に振る。
「小さい頃に出て行っちゃって、よく覚えてない」
「…」
「まあ、ママにAを押し付けるようなロクでもない人間に興味はないけどね」
だから私はママという存在に固執していた。
ママを失ってもママを求めた。
「おれが、なってもいいか？……Aのママに」
あんなに可笑しなことを言う男の人なんて、生涯きっと彼だけだ。
あんなに他人に寄り添う優しさを持ってる人は、
……コラさんだけ。
「……なら、お前が大好きな人のことを書けばいいんじゃないか？母親と、コラさんと、どっちかなんて選ばなくていい」
「……大好きな人なら、ローのことも書いていい？」
「…………おれは家族じゃねェ」
むうっと拗ねる私に軽くチョップをして、「…家族じゃなくて友達だ」と早口で言った。
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アマシギ - 素敵すぎる…！！どの作品もとても優しさあふれるお話ですね…。応援してます！！ (2022年9月23日 22時) (
レス) @page44 id: 4cd718819a (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - 最っっ高です、、、素敵な作品に出会えました。本当にありがとうございます。これからも頑張ってください。応援してます！ (2022年7月20日 20時) (レス) @page44 id: 70b28d3e93 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - 泣いた…。めっちゃ素敵なお話でした…。ありがとうございました…！ (2021年6月25日 19時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ゆゆさん» わわわ、ありがとうございます…！完結してしばらく経ってもコメントを頂けて嬉しいです（ ; ; ）この小説では如何にしてコラさんと夢主の距離(家族としての)を縮めていくかめちゃくちゃ試行錯誤して考えたので、そう言ってもらえて嬉しいです…！ありがとうございます (2020年8月6日 17時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 初めまして！とんでとない素敵な作品に巡り会えました・・・読み終えた後、心がめちゃくちゃぽかぽかしました、最高です......(TT)特に作文のシーンなんかは感動しすぎて泣いてしまいました（笑）ぱぅちさんの小説、とても大好きです。これからも応援しております、、！ (2020年7月8日 0時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年7月10日 20時
