検索窓
今日:10 hit、昨日:3 hit、合計:96,158 hit

017-君の泣き場所 ページ18

.





彼女の主張にカッと頭に血がのぼる。

なんだよ、

……なんだよ、それ。





「…嫌われたくないとか以前に、お前がコラさんのこと信用しろよ」

「!」





おれの方が年上だし、熱くなるのはよくない。
そう、頭の隅から警戒音が鳴り響いていたけれど、
“あの人”を侮辱されたようで冷静になんかなれなかった。





「そんなことでお前を嫌いになるほど、コラさんは小せェ男じゃねーよ。そりゃ慌てるだろうが、どうにかしてお前の涙を拭ってやりたいってそう思うはずだ」





Aはその場にしゃがみ込む。
膝に顔を押し付けて、肩を震わせて。


本当はAだって泣きたかったんだ。
ずっと心の中で泣いてたんだ。


頭の熱がすうっと引いていく。

おれもしゃがみ、一瞬躊躇しつつも、彼女の頭に手を置いた。

そして柔らかい髪をくしゃくしゃと撫でてやる。





「ほら、ガキは泣け。泣きたい時は泣きゃいいんだ」

「が、ガキじゃ、ない……し」

「小学生はガキだろ」





泣きながらも「ガキじゃない」とまだ意地を張るAの頭に軽くチョップし、フッと頬を緩める。


なんでこんな出会ったばかりの奴に必死になってるのか、自分でもよくわからなかった。





「お前を心配してるのは、コラさんだけじゃねェんだ」

「……ロー、も?」

「あァ。もし泣きたかったら、おれかコラさんの所に行け」





きっとコラさんに「頼む」と稀に見る真剣な表情で言われたからだろう。

うん、きっとそうだ。





「Aの泣き場所くらいなってやるよ」









そうして後々Aは、

泣く時は必ずと言っていい程おれの元へ来ることになるのだが、

それはもう少し先の話。






.

018-平社員と社長→←016-無理だよ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (171 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
190人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

アマシギ - 素敵すぎる…!!どの作品もとても優しさあふれるお話ですね…。応援してます!! (2022年9月23日 22時) (レス) @page44 id: 4cd718819a (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - 最っっ高です、、、素敵な作品に出会えました。本当にありがとうございます。これからも頑張ってください。応援してます! (2022年7月20日 20時) (レス) @page44 id: 70b28d3e93 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - 泣いた…。めっちゃ素敵なお話でした…。ありがとうございました…! (2021年6月25日 19時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ゆゆさん» わわわ、ありがとうございます…!完結してしばらく経ってもコメントを頂けて嬉しいです( ; ; )この小説では如何にしてコラさんと夢主の距離(家族としての)を縮めていくかめちゃくちゃ試行錯誤して考えたので、そう言ってもらえて嬉しいです…!ありがとうございます (2020年8月6日 17時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 初めまして!とんでとない素敵な作品に巡り会えました・・・読み終えた後、心がめちゃくちゃぽかぽかしました、最高です......(TT)特に作文のシーンなんかは感動しすぎて泣いてしまいました(笑)ぱぅちさんの小説、とても大好きです。これからも応援しております、、! (2020年7月8日 0時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぱぅち | 作成日時:2019年7月10日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。