検索窓
今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:152,162 hit

17-戻ってきて ページ18

.


五条悟


.






「…っ次は先生のことなんて好きになんないし!悠仁のこと好きになるもん!」





確か、その後に「先生のバカ!」と捨て台詞を吐いて、Aは走り去って行ったんだよな。ベンチに腰を落ち着けたまま、晴れた青空を仰いで思い返す。


言われた直後は流石にショックだけど、少し経てば落ち着いて、まあそんなことは有り得ないっしょと楽観的に考えていた。

だって、僕ってこんなにグットルッキングガイだし。

一度好きになってくれたAなら、例え忘れたとしても、再び好きになってくれる可能性は高いのだと思いたかった。


でも、その可能性とやらは決して高くなかったのだ。

今のAは僕になんの感情も抱いていない。それどころか、マイナスだ。あのAはきっと、いずれ悠仁のことを好きになる世界線のA。

「……痛いなぁ」苦笑いを零し、ずきずき痛む胸を抑える。




____僕が完璧で模範的な大人であったなら、ここで彼女を手放すべきだったのだろう。

若人は若人同士で青春を育むべきなのだから。


でも、残念ながら僕は自分本位で汚い大人で最強だった。

あの子に、戻ってきて欲しいと願ってしまった。

だから僕は種を蒔いた。

まるで呪いのようだな、と皮肉に笑う。



パタパタと慌ただしい足音が近づいてくる。
ああ、来てくれたんだ。
唇は薄らと笑みを浮かべる。

ハッハッと肩で息をする彼女は、座る僕の正面に立つなり、小さな箱を投げつけてきた。勿論それは、無下限で弾かれて地面に落ちるわけだけど。

地面にはアポロの箱と、箱から飛び出たアポロの残骸が散らばっている。





「……どうして、こんなもの渡してきたの……?」

「…」

「せっかく忘れてたのに、……やっと、好きじゃなくなった、のにっ……!」





Aの左目から小さな涙の雫が一粒零れ落ちた。






.

18-ズルい大人と純粋な子供→←16-完全に片想い



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (521 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
920人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぱぅち(プロフ) - レモン茶さん» こちらこそいつもあたたかいコメントありがとうございました!😭 レモン茶さんからコメント頂ける度に嬉しかったです!!これからも頑張ります!!💪 (2021年10月25日 22時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
レモン茶(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後まで本当に素敵なお話でした!また次回作があればまた読みたいです!ぱうちさん本当にお疲れ様でした! (2021年10月21日 20時) (レス) @page34 id: 7311114e12 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - さざんかさん» 最後までお読みくださりありがとうございました!😭 こちらこそ素敵なコメント頂けて本当に嬉しいです!私にとっても忘れられないお話しになりました✨ (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ナハマヤラさん» 最後までお読みくださりありがとうございました!😭更新が遅すぎた中でも最後までお付き合い頂いた読者様には本当に感謝でいっぱいです…!これからも頑張ります!💪 (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 白米さん» 白米さん!こちらこそ最後までお読みくださり、本当にありがとうございました!!😭 甘くない話を書いていると、読者様に楽しんでもらえてるかな…と不安になるのですが、そんな中でも白米さんにあたたかいコメントを頂けて安心してました笑ありがとうございました! (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぱぅち | 作成日時:2021年5月30日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。